【2026年最新】人材開発支援助成金(人材育成支援コース)とは? 制度の概要と助成額、申請のポイントを分かりやすく解説

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「従業員のスキルアップ研修をしたいけれど、コストが気になる……」
「社内の人材育成を強化したいが、何から始めればいいか分からない」
そんな中小企業の経営者様や人事担当者様におすすめなのが、「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)」です。
この記事では、最新のルールに基づき、複雑な制度をシンプルに分かりやすく解説します。

人材開発支援助成金(人材育成支援コース)とは?

人材開発支援助成金は、「職務に関連した知識・技能」を習得させるための訓練を「計画に沿って実施」した場合に、「訓練経費や訓練期間中の賃金」の一部等を助成する制度です。

この助成金は、単に「研修に行かせたらお金がもらえる」というものではありません。
まず「会社としてどのような人材を育てたいか」という計画(事業内職業能力開発計画)を立て、その計画に沿うような訓練メニュー(業務に関連した研修)を選択し、計画に沿って訓練を行うことがポイントとなります。

訓練は大きく3つのメニューに分かれています。
まずは、自社がどのメニューを使えるのかそれぞれ見ていきましょう!

自社に合うのはどれ? 3つの訓練メニュー

「人材育成支援コース」には、大きく分けて3つのメニューがあります。対象となる従業員や、育てたいレベルによって使い分けます。

① 人材育成訓練(一番使いやすい!)

もっとも汎用性が高く、多くの企業が利用しているメニューです。

対象:正規雇用・非正規雇用を問いません。
条件:OFF-JT(座学や実習)であること。
   実訓練時間が10時間以上であること。
活用イメージ:外部の専門研修に従業員を通わせる。講師を招いて社内でITスキルの講習会を開く。

② 認定実習併用職業訓練(若手をじっくり育てる)

中核となる人材を長期的に育成したい場合に使います。

対象:15歳以上45歳未満の労働者(主に若手社員)。
条件:OJT(実務)+ OFF-JT(座学)の組み合わせであること。
   訓練期間は6か月以上2年以下であること。
   事前に厚生労働大臣の認定を受けていること、など。
活用イメージ:新入社員に対し、現場での実務指導と座学を組み合わせて、1年かけて一人前に育てる。

③ 有期実習型訓練(正社員化を目指す)

パートや契約社員の方を、正社員へステップアップさせる場合に使います。

対象:有期契約労働者(正社員経験が少ない人など)。
条件:OJT + OFF-JTの組み合わせであること。
   訓練期間が2か月以上あること、など。

👉【重要】2025年4月からの変更点
訓練終了後、支給申請日までに正規雇用労働者等への転換を実施した場合に限り助成対象となります。
もし転換しなかった場合、このコースの助成金(特にOJT分)は受け取れません(※ただし要件を満たせば①の人材育成訓練として申請できる救済措置はあります)。

【訓練メニューまとめ】

① 人材育成② 認定実習③ 有期実習型
一番使いやすい若手の長期育成正社員化前提
誰でも可(正規・非正規問わず)45歳未満有期契約者
OFF-JTのみOJT + OFF-JTOJT + OFF-JT
10時間以上6ヶ月~2年2ヶ月以上
大臣認定正社員転換

いくらもらえる? 助成額と助成率(中小企業の例)

この助成金でもらえるお金は、大きく分けて「経費助成(受講料など)」と「賃金助成(訓練時間の給料補助)」の2種類です。
ここでは中小企業の場合の金額を紹介します(大企業は少し下がります)。

経費助成(受講料などの補助)

訓練メニュー対象労働者区分助成率賃金要件等加算
人材育成訓練正規45%60%(+15%)
非正規70%85%(+15%)
認定実習併用職業訓練正規45%60%(+15%)
有期実習型訓練非正規75%100%(+25%)

研修にかかった入学料や受講料などが戻ってきます。
正規雇用の方への訓練は45%で、賃上げ等をすれば60%(+15%)にアップ!
非正規雇用の方への訓練は70%または75%と高めに設定されています。
賃上げ等をすれば: 85%(+15%)または100%(+25%)にアップ!なんと有期実習型の場合、研修にかかった経費の全額が助成されます。
※1人1コースあたりの上限額があります(例:10時間〜100時間未満の訓練なら15万円)。

10時間~100時間未満100時間~200時間未満200時間~
15万円30万円50万円

賃金助成(訓練時間の給料補助)

訓練メニュー対象労働者区分助成額(1人1時間あたり)賃金要件等加算
人材育成訓練正規800円1000円(+200円)
非正規800円1000円(+200円)
認定実習併用職業訓練正規800円1000円(+200円)
有期実習型訓練非正規800円1000円(+200円)

従業員が研修を受けている間も、会社は給料を払う必要があります。その負担を軽減するための助成です。
基本: 1人1時間あたり 800円(★令和7年4月から増額されました!)
賃上げ等をすれば: 1人1時間あたり 1,000円(+200円)にアップ!

【超重要】eラーニング・通信制の注意点

いつでもどこでも受けられる「eラーニング」や「通信制」は便利ですが、助成金においては以下のルールがあります。
経費助成: 対象になります。
賃金助成: 対象外(0円)です。
「eラーニングを受けさせている時間の賃金助成も計算に入れていた…」という失敗が無いよう必ず覚えておいてください。

申請の絶対条件! 「計画届」と「3つのステップ」

この助成金は「後から申請」はできません。必ず訓練を始める前に手続きが必要です。

ステップ1:社内体制の整備
申請の土台として、以下の2つを準備します。

  1. 「職業能力開発推進者」の選任: 社内の人材育成リーダー(研修担当の部課長など)を決めます。
  2. 「事業内職業能力開発計画」の策定: 「我が社はこういう人材を育てます」という計画を作り、全社員に周知します。

ステップ2:計画届の提出(ここが最重要!)
具体的な訓練日程が決まったら、「職業訓練実施計画届」を労働局へ提出します。

提出期限: 訓練開始日の1か月前まで(原則、訓練開始日の6か月前から1か月前の間)。
注意: 1日でも遅れると受け付けられません(必着)。
例:7月1日開始なら、6月1日までに提出が必要です。

ステップ3:訓練実施・支給申請
計画通りに訓練を実施し、終了後に助成金を請求します。

申請期限: 訓練終了日の翌日から2か月以内。
出席率: 通学制の場合、実訓練時間の8割以上の出席が必要です(8割を切ると全額不支給になります)。

2025年(令和7年)4月からの主な変更点まとめ

最新のルール変更をおさらいしておきましょう。

【賃金助成額のアップ】
中小企業の基本額が760円 → 800円へ増額されました。

【有期実習型訓練の厳格化】
訓練後に正社員(または無期雇用)に転換することが必須要件になりました。

【審査タイミングの変更】
計画届を出すときは「受付」のみとなり、詳しい審査は訓練終了後の「支給申請時」に一括で行われるようになりました。
「計画届が出せた=支給確定」ではないので、要件確認は慎重に行いましょう!

まとめ・よくある失敗例

最後に、実務でやりがちな失敗例を挙げておきます。

❌ 「eラーニングなのに賃金助成(800円)が出ると思って予算を組んでしまった」
→ eラーニングは経費助成のみです。

❌ 「計画届を訓練開始の2週間前に出した」
→ 原則1か月前までです。間に合わないと申請できません。その場合、訓練開始日をずらすなどの対応をしましょう。

❌ 「忙しくて社員が研修を欠席し、出席率が70%だった」
→ 8割未満だと、その社員分の助成金は1円も出ません(経費分も含めてゼロになります)。

人材開発支援助成金は、手順さえ守れば、従業員の成長と会社のコスト削減を同時に叶える強力なツールです。 まずは社内で「誰に」「どんなスキルを」身につけさせたいか話し合うところから始めてみませんか?

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※本記事は2026年1月時点の法令・情報に基づき作成しています。
助成金の支給要件は頻繁に変更されるため、具体的な申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認いただくか、所轄の労働局または社会保険労務士までご相談ください。
【参照資料】
厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内(令和7年4月1日版)」
     「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)支給要領(令和7年4月1日版)」

👉 厚生労働省:人材開発支援助成金 公式ページ(申請書・要領のダウンロードはこちら)



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