【両立支援等助成金(出生時両立支援コース)】とは?「男性も育休が取れる職場」づくりの第一歩! 男性従業員が育休男性の育休取得で1人最大30万円


男性が育休を取れる会社かどうかを、就職・転職先を選ぶ基準にする求職者が増えています。
求人票に「男性育休取得実績あり」と書けるかどうかが、応募数の差につながる場面も出てきました。

会社として男性の育休取得を積極的に後押ししたい。そう考えたとき、整備すべき社内の仕組みや、かかるコストをどう手当てするかが課題になります。
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)は、こうした取り組みを国が費用面で支援する制度です。

こんな企業におすすめ!

・これまで男性の育休取得者がおらず、社内に前例がないため最初の一歩を踏み出しにくい
・求人票や会社説明会で「男性も育休が取れる職場」とアピールできる実績をつくりたい
・男性が育休を取得する際の業務カバー体制をどう組めばいいか整理したい

1. 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)とは?

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)は、育児休業を取得しやすい雇用環境整備などを行い、男性従業員が育児休業を取得した場合に受給できる助成金です。

ここでいう「育休」は、子どもが生まれてから8週間以内に開始する育休に限られます。
赤ちゃんが生まれた直後の時期に、パパが家族のそばにいられる環境をつくることを後押しする制度です。産後パパ育休(出生時育児休業)もこの期間に該当します。

助成金が支給される場面は、大きく2つあります。

1つ目は、男性従業員が子の出生後8週間以内に育休を取得した場合です。
例えば、子どもが生まれた男性従業員が出生後2週間以内に1週間の育休を取得した、という実績が1件あれば申請できます。会社として「初めて男性の育休取得者が出た」というタイミングでも受給できるため、まず最初の一歩を踏み出した会社に向いています。

2つ目は、会社全体の男性育休取得率が大きく上がった場合です。
例えば、昨年度は男性の育休取得率が20%だったのが、今年度は60%に上がった、といった場合がこれに当たります。
個人の取得実績ではなく、会社全体の取り組みの成果として受け取れる助成金です。

どちらの場面でも、育休を取りやすくするための社内の仕組みづくりが前提になります。就業規則の整備や、育休中の業務カバー体制の構築といった取り組みが、助成の対象となる環境整備にあたります。

2. いくらもらえる?

男性従業員の育児休業取得

子の出生後8週間以内に開始する育休を男性従業員が取得した場合、1人あたりの支給額は以下のとおりです。

対象支給額
1人目20万円
1人目(雇用環境整備措置を4つ以上実施した場合)30万円
2人目10万円
3人目10万円

同一事業主について、3人目までが支給対象です。1人目で受給した後も、2人目・3人目と続けて申請できます。

「雇用環境整備の措置」とは、育児・介護休業法等で定められた以下の5つの取り組みを指します。

  1. 育児休業に係る研修の実施
  2. 育児休業に関する相談体制の整備
  3. 育児休業の取得事例の収集・提供
  4. 育児休業に関する制度・取得促進方針の周知
  5. 育休取得が円滑に行われるための業務の配分または人員配置に係る措置

通常(育休申出期限が2週間前まで)は1人目で2つ以上、2人目で3つ以上、3人目で4つ以上の実施が必要です。このうち4つ以上を実施した場合に1人目の支給額が20万円から30万円に加算されます。

男性従業員の育児休業取得率の上昇等

会社全体の男性育休取得率が大幅に上昇した場合の支給額は以下のとおりです。

要件支給額
取得率が前事業年度から30ポイント以上上昇し50%以上を達成 等60万円
申請時点でプラチナくるみん認定を受けている場合60万円+15万円

1事業主1回限りの支給です。

育児休業等に関する情報公表加算

厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」の一般事業主行動計画公表サイトに、男女の育児休業取得率や平均取得日数などを公表した場合、2万円が加算されます。男性従業員の育児休業取得(1〜3人目のいずれか)または育児休業取得率の上昇等のいずれか1回限りの加算で、加算のみの申請はできません。

3. 活用事例

事例1:制度を整備したことで、初めて男性社員が育休を取得した

男性従業員が多い印刷会社。育休に関する規定が就業規則に十分整備されておらず、取得した前例もなかった。

会社として育休取得を後押しする方針を社内に周知し、就業規則に育休制度と業務カバー体制を明文化した。整備後、子どもが生まれた男性社員が出生後2週間以内に1週間の育休を取得した。

受給額:20万円(出生時両立支援コース・育休取得1人目)

「男性育休取得実績あり」として求人票に記載できるようになり、採用活動での反応が変わった。

事例2:男性育休取得率が前年度から30ポイント以上上昇し、60万円を受給した

数年前から男性育休の取得を会社として推進してきた食品加工会社。前々事業年度の取得率が20%だったのに対し、前事業年度は55%まで上昇。30ポイント以上の上昇かつ50%以上の達成という要件を満たした。

受給額:60万円(出生時両立支援コース・育児休業取得率の上昇等)

個々の育休取得に対する助成ではなく、会社全体の継続的な取り組みの成果として受け取れる助成金です。

4. 支給要件

男性従業員の育児休業取得

  1. 育児・介護休業法等に定める雇用環境整備の措置を、必要な数実施していること
    育休を取りやすい環境づくりのために、会社として具体的な取り組みを複数行っていることが必要です。
    対象となる措置は以下の5項目です。
    ・育児休業に関する社内研修の実施
    ・育児休業に関する相談窓口の整備
    ・育児休業の取得事例の収集・社内への提供
    ・育児休業に関する制度・取得促進方針の周知
    ・育休取得が円滑に進むための業務の配分または人員配置に係る措置
    1人目の申請では原則2つ以上、2人目では3つ以上、3人目では4つ以上の実施が必要で、いずれも育休開始日の前日までに済んでいることが条件です。
  2. 育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定等を策定し、業務体制の整備をしていること
    「誰かが育休に入ったとき、残った人がどうカバーするか」を就業規則や社内ルールに書いておくことが必要です。
    単に「引き継ぎをする」と書くだけでは不十分で、「引き継いだ業務を見直して効率化や外注も検討する」という内容まで含めて規定しておく必要があります。
    規定の策定は育休開始日の前日まで、実際の業務体制の整備は遅くとも育休終了日までに行っていることが条件です。
  3. 男性従業員が、子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得すること
    赤ちゃんが生まれた日を含む57日以内に育休を開始している必要があります。
    取得日数は1人目が連続5日以上(うち会社の出勤日が4日以上含まれていること)、2人目が連続10日以上(うち8日以上)、3人目が連続14日以上(うち11日以上)です。産後パパ育休(出生時育児休業)も対象に含まれます。
  4. 育児休業制度などを労働協約または就業規則に定めていること
    育児休業と育児のための短時間勤務制度の両方を、育休開始日の前日までに就業規則に具体的に書いておく必要があります。
    「法律に従う」という一文だけでは認められず、「いつから・どのくらいの期間・どんな手続きで取得できるか」といった内容が明記されていることが必要です。
  5. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局へ届け出ていること
    「仕事と子育ての両立のために会社としてこういう取り組みをします」という計画書を作成し、労働局に届け出ることが必要です。
    申請日時点でその計画の期間内にあることが条件で、届け出るだけでなく社内への周知まで完了している必要があります。プラチナくるみん認定を受けている場合はこの届け出は不要です。
  6. 対象の男性従業員を育児休業の開始日から支給申請日まで、雇用保険被保険者として継続して雇用していること
    育休を取得した従業員が、申請するまでの間ずっと在籍して雇用保険に加入し続けていることが必要です。
    育休中に退職した場合や、雇用保険の加入条件を満たさなくなった場合は対象外となります。

男性従業員の育児休業取得率の上昇等

  1. 育児・介護休業法等に定める雇用環境整備の措置を複数実施していること
    男性育休取得の要件1と同じ5項目が対象です。
    取得率の算出対象となる事業年度に育休を取得したいずれかの男性従業員の育休開始日前日までに、2つ以上実施している必要があります(育休申出期限を2週間より長く設定している場合は3つ以上)。
  2. 育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定等を策定し、業務体制の整備をしていること
    男性育休取得の要件2と同じ内容です。取得率の対象事業年度に育休を取得したいずれかの男性従業員の育休開始日前日までに、就業規則や社内ルールへの規定が完了している必要があります。
  3. 男性従業員の育児休業取得率が、以下のAまたはBのいずれかに該当すること
    A:前事業年度の男性育休取得率が前々事業年度と比較して30ポイント以上上昇し、かつ50%以上となっていること。例えば前々事業年度が40%であれば、前事業年度が70%以上になっていれば該当します。
    B:前々事業年度に配偶者が出産した男性従業員(雇用保険被保険者)が5人未満で、かつ直前の2事業年度の男性育休取得率がいずれも70%以上であること。
    子どもが生まれる男性従業員が少ない会社向けの要件で、2年続けて高い取得率を維持した場合に該当します。 なお、取得率は「ある事業年度に育休を取得した男性従業員数 ÷ 配偶者が出産した男性従業員数」で計算します(小数第1位以下切り捨て)。育児目的休暇など育休以外の休暇制度を利用した従業員は取得者に含めません。
  4. 育児休業制度などを労働協約または就業規則に定めていること
    取得率を算出する対象期間中のすべての男性従業員の育休開始日前日までに、育児休業と育児のための短時間勤務制度の両方を就業規則に具体的に書いておく必要があります。
  5. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局へ届け出ていること
    男性育休取得の要件5と同じ内容です。申請日時点で有効な計画が必要で、届け出るだけでなく社内への周知まで完了している必要があります。
  6. 対象の男性従業員を育児休業の開始日から支給申請日まで、雇用保険被保険者として継続して雇用していること
    取得率の算出対象となった男性従業員全員について、育休開始日から申請日まで在籍して雇用保険に加入し続けていることが必要です。

5. 申請の流れ

男性従業員の育児休業取得

STEP1. 就業規則の整備

育休制度と業務カバー体制を就業規則に規定します。雇用環境整備の措置(研修の実施・相談窓口の設置など)も、このタイミングで整えておきます。いずれも育休開始日の前日までに完了している必要があります。

STEP2. 社内への周知

整備した制度の内容と、育休取得を会社として推進する方針を全従業員に周知します。メール・回覧・掲示など、周知した事実が記録として残る方法で行うことが重要です。こちらも育休開始日の前日までに完了している必要があります。

STEP3. 男性従業員が育休を取得する

子どもの誕生後8週間以内に育休を開始します。取得日数は1人目が連続5日以上、2人目が連続10日以上、3人目が連続14日以上です。産後パパ育休(出生時育児休業)と通常の育児休業のどちらでも対象になります。

STEP4. 支給申請

育休終了日の翌日から2か月以内に、本社等の所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に申請書類を提出します。例えば育休が5月10日に終了した場合、7月10日が申請期限です。郵送の場合は消印ではなく労働局への到達日が期限内である必要があるため、余裕をもって発送してください。

男性従業員の育児休業取得率の上昇等

STEP1. 就業規則の整備・雇用環境整備の措置の実施

男性育休取得と同様に、就業規則への規定と雇用環境整備の措置を対象事業年度中に進めておきます。

STEP2. 社内への周知

整備した制度の内容と取得促進の方針を全従業員に周知します。

STEP3. 対象事業年度の取得率を確認する

事業年度が終了したら、「その年度に配偶者が出産した男性従業員数」と「育休を取得した男性従業員数」を集計し、取得率を計算します。前事業年度と比べて30ポイント以上上昇し50%以上に達しているかどうかを確認します。

STEP4. 支給申請

要件を満たした事業年度の翌事業年度の開始日から6か月以内に申請します。例えば事業年度が4月〜3月の会社であれば、翌年4月1日から9月30日が申請期間です。申請先は男性育休取得と同様です。

6. よくある質問

Q. 契約社員やパート従業員が育休を取得した場合も対象になりますか?

はい、対象になります。雇用保険の被保険者として雇用されている従業員であれば、雇用形態を問わず申請できます。ただし、男性従業員の育児休業取得については中小企業事業主のみが対象となるため、大企業は申請できません。

Q. 育休期間中は有給にする必要がありますか?

有給・無給は問いません。ただし、会社として有給で育休を取得させる運用をしている場合は、その旨を就業規則に明記しておく必要があります。実際の運用と就業規則の記載が一致していることが重要です。

Q. 産後パパ育休(出生時育児休業)は対象に含まれますか?

はい、対象に含まれます。育児・介護休業法に基づく通常の育児休業だけでなく、産後パパ育休(出生時育児休業)も対象です。産後パパ育休と通常の育児休業を連続して取得した場合は、両者の期間を通算して取得日数を計算することができます。

Q. 育休取得率の上昇等について、会社を設立して間もない場合でも申請できますか?

残念ながら、前々事業年度が存在しない場合は、原則として取得率の上昇等(30ポイント以上上昇)の要件を満たすことができません。ただし、前々事業年度に配偶者が出産した男性従業員が5人未満で、2事業年度連続して70%以上の取得率を達成した場合のBの要件については、設立後の事業年度の実績で対応できる場合があります。まずは男性従業員の育児休業取得(1人目〜3人目)の申請から始めることをおすすめします。

7. まとめ

男性が育休を取りやすい職場をつくることは、採用にも定着にも直結する取り組みです。
「うちは男性の育休取得者がまだいない」という会社こそ、最初の1人を後押しすることが出生時両立支援コースの活用につながります。
就業規則に育休制度と業務カバー体制を規定し、取得を会社として推進する方針を社内に周知する。この2つが整えば、1人目の申請で最大30万円を受給できる状態になります。

取得実績が積み重なり、会社全体の男性育休取得率が前事業年度から30ポイント以上上昇して50%以上に達した場合は、取得率の上昇等として60万円を受給できます。1人ひとりの育休取得を支援した結果が、会社全体の数字に表れたタイミングで受け取れる助成金です。

まずは自社の就業規則に育休制度が具体的に規定されているかどうかを確認し、雇用環境整備の措置として何が済んでいて何が足りないかを整理することから始めましょう。要件の詳細や自社の状況への当てはめ方については、管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)または社会保険労務士にご相談ください。

お気軽にお問い合わせください

【参照資料】
厚生労働省『両立支援等助成金 支給申請の手引き(2026年度版)』
厚生労働省『両立支援等助成金(出生時両立支援コース)支給要領(令和8年4月8日改正)』
厚生労働省『両立支援等助成金(出生時両立支援コース)Q&A(2026年度版)』

👉 厚生労働省:両立支援等助成金 公式ページ(申請書・要領のダウンロードはこちら)

※本記事は2026年4月時点の法令・情報に基づき作成しています。助成金の支給要件は変更されることがあるため、具体的な申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認いただくか、所轄の労働局または社会保険労務士までご相談ください。


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