【人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)業務負担軽減機器等の導入】とは?フォークリフト・食器洗浄機など従業員の負担削減へ!機器導入で最大225万円 


現場の仕事は体が資本です。重い荷物の積み下ろし、立ちっぱなしの調理作業、介護の移乗介助。こうした身体的な負担が積み重なることで、従業員の体が限界を迎えて離職するケースや、きつい仕事というイメージが先行して採用に苦戦するケースは、業種を問わず起きています。

「人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)業務負担軽減機器等の導入」は、従業員の直接的な作業負担を軽減する機器・設備等を新たに導入した事業主に対して、導入費用の1/2(上限150万円)を助成する制度です。

この記事では、業務負担軽減機器等の導入の要件・助成額・申請の流れを具体的に解説します。

こんな企業におすすめ!

・重い荷物の運搬や積み下ろしなど、身体的な負担の大きい作業が日常的に発生している
・きつい仕事というイメージが先行して求人への応募が集まりにくいと悩んでいる
・機器や設備の導入で作業を楽にしたいが、初期費用の負担が大きく踏み切れていない
・従業員の身体的な負担を減らすことで、長く働き続けられる職場にしたい

1. 業務負担軽減機器等の導入とは?

業務負担軽減機器等の導入とは、従業員が直接作業していた業務について、機器や設備の導入によって身体的な負担を軽減する取り組みです。

雇用管理制度(A)が給与・評価・コミュニケーションといった職場のルールや仕組みを整えることで定着率を高めるものであるのに対し、業務負担軽減機器等の導入は機器や設備の力を借りて作業そのものを楽にすることで、従業員が長く働き続けられる環境をつくるものです。アプローチは異なりますが、どちらも人材の確保・定着という同じ目的を持っています。

対象となるのは、従業員が直接行っていた作業の身体的な負担を軽減するための機器・設備です。導入費用が10万円以上(税抜)のものが対象となり、購入だけでなくリース契約やライセンス契約も含まれます。

業種ごとの対象機器の例は以下の通りです。

建設業:油圧ショベル・クレーン・高所作業車・施工管理ソフト等
製造業:洗浄機・食品製造機器・プレス機器・搬送ロボット等
運輸業:フォークリフト・電動アシスト台車・荷物昇降機等
飲食・宿泊業:ロボット掃除機・食器洗浄機・配膳ロボット等
介護業:車いす昇降リフト・介護ソフト・移乗補助機器等

一方、以下のものは対象外です。

・パソコン・タブレット・スマートフォンおよびその周辺機器
・通常の事務用機器(コピー機・FAX等)
・空調・照明設備
・従業員が直接使用しない機器・設備
・導入費用が10万円未満(税抜)のもの

2. いくらもらえる?

助成額は導入費用の1/2です。

上限額は通常150万円ですが、賃金要件(整備計画期間中に対象従業員の賃金を一定率以上引き上げること)を達成した場合は上限が拡大されます。

賃金要件なし上限150万円
3%以上(一定の条件あり)または5%以上上限187.5万円
7%以上上限225万円
メニュー内容助成額
賃金規定制度賃金規定と賃金表を整備し、定期昇給の仕組みを導入する(中小企業事業主のみ対象)40万円(賃金要件達成で50万円)
諸手当等制度資格手当・家族手当・退職金・賞与などを新設する40万円(賃金要件達成で50万円)
人事評価制度評価結果が賃金に反映される人事評価制度を導入する40万円(賃金要件達成で50万円)
職場活性化制度メンター制度・従業員調査(エンゲージメントサーベイ)・1on1ミーティングのいずれかを導入する20万円(賃金要件達成で25万円)
健康づくり制度希望する従業員に人間ドックを受診させる制度を導入する20万円(賃金要件達成で25万円)
業務負担軽減機器等従業員の直接的な作業負担を軽減する機器・設備等を導入する導入費用の1/2(上限150万円)※賃金要件達成で上限187.5万円または225万円

例えば導入費用が200万円の場合、通常は1/2の100万円が助成されます。賃金を7%以上引き上げた場合は上限225万円まで拡大されるため、200万円の1/2である100万円がそのまま助成されます。導入費用が300万円の場合は、通常上限の150万円が助成額となります。

雇用管理制度(賃金規定制度・諸手当等制度・人事評価制度・職場活性化制度・健康づくり制度)と組み合わせて申請することができます。雇用管理制度の上限80万円(賃金要件達成で100万円)と業務負担軽減機器等を合わせた場合、最大230万円(賃金要件達成で最大325万円)まで受け取ることができます。

3. 活用事例

事例1:フォークリフトを導入して腰痛による離職が減ったケース

倉庫内での重量物の運搬を手作業で行っていたため、腰痛を理由に離職する従業員が続いていた。

導入費用180万円のフォークリフトを導入したことで手作業による運搬が不要になり、身体的な負担が大幅に軽減。
腰痛を理由とした離職が減少し、評価時離職率が目標を達成して助成金90万円を受給した。

事例2:介護ソフトを導入し賃金要件も達成して助成額が増えたケース

介護記録をすべて手書きで行っており、業務終了後の記録作業が従業員の負担になっていた

導入費用120万円の介護ソフトを導入したことで記録作業が効率化され、従業員が本来の介護業務に集中できるようになった。
整備計画期間中に対象従業員の賃金を5%以上引き上げる賃金要件も達成し、上限が187.5万円に拡大。助成金60万円を受給した。

事例3:業務負担軽減機器等と諸手当等制度を組み合わせて申請したケース

現場の作業負担の軽減と従業員の処遇改善を同時に進めるため、導入費用200万円の搬送ロボットの導入(業務負担軽減機器等)と資格手当の新設(諸手当等制度)を同時に申請。

業務負担軽減機器等で100万円、諸手当等制度で40万円、合計140万円の助成金を受給した。

事例4:パソコンを業務負担軽減機器として申請したが対象外となったケース

事務作業の効率化を目的として1台15万円のパソコンを複数台購入し、業務負担軽減機器等として申請を試みたケース。

パソコンおよびその周辺機器は対象外と判明し、申請できなかった。
業務負担軽減機器等の要件については後述します。

事例5:計画認定前に機器を発注してしまい対象外となったケース

導入費用200万円の搬送ロボットの導入を決めた後、計画書の提出・認定を待たずに発注・納品してしまったケース。

計画認定前に費用の支払いが発生したものは対象外と判明し、申請できなかった。
取り組みの順番は、計画書の提出→認定→機器の発注・導入という流れが絶対です。

4. 支給要件

業務負担軽減機器等の導入の申請にあたっては、以下の要件をすべて満たす必要があります。

事業主の要件

  1. 雇用管理制度等整備計画を都道府県労働局長に提出し、認定を受けた事業主であること。
    計画書の認定を受ける前に機器を発注・導入してしまうと、要件を満たさず申請できなくなります。
  2. 計画の認定申請日から計画期間の末日までの間、同一の労働者を最低1名は対象労働者として継続して雇用していること。
    計画期間中に対象労働者が全員退職してしまった場合は申請できません。
  3. 計画開始日の前日から起算して6か月前から計画期間の末日までの期間、雇用する雇用保険被保険者を事業主都合で解雇等していないこと。
    この期間中に事業主都合での解雇があった場合、助成金は受給できません。
  4. 離職者がいる場合、計画期間開始日の前日から6か月前から申請日までの間に、倒産・解雇等の会社都合による離職者数が、計画書提出日時点の被保険者数の6%を超えていないこと(特定受給資格者となる離職理由の被保険者が3人以下の場合を除く)。
    たとえば計画書提出日時点の被保険者数が10人の場合、会社都合の離職者が1人以内であれば要件を満たします(6%=0.6人→切り捨てで0人のため、実質3人以下の場合を除くという条件が適用されます)。
  5. 過去に以下の助成金を受給している場合、最後の支給決定日の翌日から起算して3年間が経過していること。
    ・人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース/目標達成助成)
    ・人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)
    ・人事評価改善等助成金(制度整備助成および目標達成助成)
    ・建設労働者確保育成助成金(雇用管理制度助成コース)など
  6. 計画開始日までに、対象事業所ごとに「雇用管理責任者」を選任し、従業員に周知していること。
    雇用管理責任者とは、雇用管理の改善への取り組みや従業員からの相談対応など、雇用管理の改善に関する事項を管理する担当者のことです。氏名を社内に掲示する、社内メール等で周知するといった方法で周知します。

機器・設備の要件

  1. 従業員が直接従事している業務の身体的な負担を軽減するための機器・設備等であること。
    従業員が直接使用しない機器・設備や、間接的に業務効率を高めるだけのものは対象外です。
  2. 導入する機器・設備等の費用が1点あたり10万円以上(税抜)であること。
    10万円未満の機器・設備は対象外です。複数の機器をセットで導入する場合でも、1点ごとに10万円以上であることが必要です。
  3. 購入・リース・レンタル・ライセンス契約のいずれかによる導入であること。
    購入だけでなく、リース契約やライセンス契約による導入も対象となります。ただし、レンタルの場合は計画期間内に支払いが完了しているものに限ります。
  4. 新たに導入するものであること。
    計画書提出前にすでに費用の支払いが発生している場合は対象外です。

以下のものは対象外です。
・パソコン・タブレット・スマートフォンおよびその周辺機器
・通常の事務用機器(コピー機・FAX・プリンター等)
・空調・照明設備
・従業員が直接使用しない機器・設備
・建物・構築物等の不動産

離職率の要件

  • 評価時離職率算定期間(計画期間終了後12か月間)において、離職率の目標を達成していること。

目標値は事業所の規模によって異なります。
従業員1〜9人の事業所:計画時離職率と同水準以下(現状維持でOK)
従業員10人以上の事業所:計画時離職率から1ポイント以上の低下

いずれの規模でも、評価時離職率が30%以下であることが条件です。例えば従業員が10人の事業所であれば、評価時離職率算定期間中の離職者が3人以内である必要があります。

なお、計画時離職率がすでに0%の場合や、目標値を計算した結果が0%を下回る場合は、評価時離職率を0%とすることが目標となります。

5. 申請の流れ

STEP1. 雇用管理制度等整備計画の作成・提出

導入する機器・設備の内容と計画期間(3か月以上1年以内)を記載した「雇用管理制度等整備計画書(様式第a-1号)」と「導入する業務負担軽減機器等の概要票(様式第a-1号別紙6)」を作成し、計画開始日の少なくとも1か月前までに、かつ6か月より前にならないよう(つまり早すぎてもだめ)、本社所在地を管轄する都道府県労働局に提出します。計画書には計画時離職率も記載します。

提出方法は窓口への持参・郵送・電子申請のいずれかで行えます。郵送の場合は期限までに到達している必要があります。

STEP2. 計画の認定

提出した計画書の内容が適切と認められた場合、都道府県労働局から認定通知書が交付されます。計画期間の開始日が近づいても労働局から連絡がない場合は、提出先の労働局に確認してください。認定が確認できるまで、機器の発注・導入を始めてはいけません。

STEP3. 機器・設備の導入

認定を受けた計画に基づき、機器・設備を導入します。業務負担軽減機器等の導入については、雇用管理制度と異なり就業規則への明文化は不要です。

業務負担軽減機器等の実施日は、機器・設備の導入を経て、従業員が実際に使用を開始した日です。リース契約・ライセンス契約の場合は、契約に基づく最初の支払いが発生した日が実施日となります。

STEP4. 評価時離職率算定期間(12か月間)

計画期間終了後、12か月間の離職率(評価時離職率)を測定します。離職率の目標を達成していることが、支給申請の前提条件です。

STEP5. 支給申請

評価時離職率算定期間の末日の翌日から2か月以内に、支給申請書と必要書類を都道府県労働局に提出します。この期限を過ぎると申請が受け付けられなくなります。

主な提出書類は以下の通りです。
・支給申請書(様式第a-6号)
・導入した業務負担軽減機器等の概要票(様式第a-6号別紙6)
・対象労働者名簿(様式第a-6号別紙7)
・機器・設備の導入に係る契約書・発注書・納品書・請求書・領収書等
・機器・設備の仕様書またはカタログ等(導入した機器・設備の内容が確認できるもの)
・機器・設備の使用状況が確認できる写真等
・適用対象労働者の出勤簿(所定の月分)
・適用対象労働者の労働条件通知書または雇用契約書の写し
・離職証明書等(評価時離職率算定期間の離職理由が確認できる書類)
・支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)

6. よくある質問

Q. リース契約で導入した機器は対象になりますか?

対象になります。購入のほか、リース契約・レンタル・ライセンス契約による導入も対象となります。ただし、レンタルの場合は計画期間内に支払いが完了しているものに限ります。

Q. 複数の機器を同時に導入した場合、助成額は増えますか?

複数の機器を導入した場合、導入費用の合計額の1/2が助成されます。ただし、上限額は150万円(賃金要件達成で187.5万円または225万円)です。例えば、100万円の機器と80万円の機器を同時に導入した場合、合計180万円の1/2である90万円が助成されます。

Q. 10万円未満の機器は複数まとめて申請することはできますか?

残念ながらできません。対象となるのは1点あたり10万円以上(税抜)の機器・設備です。10万円未満の機器を複数まとめても要件を満たすことにはなりません。

Q. 既存の機器を入れ替えた場合は対象になりますか?

老朽化等により既存の機器を新しい機器に入れ替える場合も、新たな導入として対象となる場合があります。ただし、計画書提出前にすでに発注・支払いが発生している場合は対象外です。

Q. 導入した機器が故障して使えなくなった場合はどうなりますか?

機器が故障した場合でも、支給申請時点で修理済みまたは代替機器の手配が完了しており、実際に使用できる状態であれば申請できる場合があります。
ただし、故障の状況や対応内容によって判断が異なるため、管轄の都道府県労働局に確認することをお勧めします。

Q. 雇用管理制度と業務負担軽減機器等を同時に申請する場合、計画書は1つでよいですか?

1つの計画書にまとめて申請することができます。
雇用管理制度と業務負担軽減機器等を同時に申請する場合は、計画書に両方の内容を記載し、それぞれの概要票を添付して提出します。

7. まとめ

業務負担軽減機器等の導入は、従業員の直接的な作業負担を軽減する機器・設備を新たに導入した事業主に対して、導入費用の1/2(上限150万円、賃金要件達成で最大225万円)を助成する制度です。

重い荷物の運搬、介護の移乗介助、飲食店での食器洗浄といった身体的な負担の大きい作業を機器の力で楽にすることで、従業員が長く働き続けられる環境をつくることが目的です。

雇用管理制度が給与・評価・コミュニケーションといった職場のルールや仕組みを整えるものであるのに対し、業務負担軽減機器等の導入は作業そのものを楽にする取り組みです。両方を組み合わせることで、待遇面と職場環境の両方から人材の確保・定着を強化することができ、最大230万円(賃金要件達成で最大325万円)まで受け取ることができます。

注意が必要なのは、パソコン・スマートフォン・空調・照明設備などは対象外である点、導入費用が1点あたり10万円以上(税抜)であることが必要な点です。
また、計画書を提出して認定を受ける前に機器を発注・導入してしまうと申請できなくなります。
まずは自社の現場で身体的な負担の大きい作業を洗い出し、どの機器・設備が対象になりそうかを確認することから始めましょう。

要件の詳細や自社の状況への当てはめ方については、管轄の都道府県労働局またはハローワーク、もしくは社会保険労務士にご相談ください。

お気軽にお問い合わせください

【参照資料】
厚生労働省「人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)」のご案内

👉 厚生労働省:人材確保等支援助成金 公式ページ(申請書・要領のダウンロードはこちら)

※本記事は2026年4月時点の法令・情報に基づき作成しています。
助成金の支給要件は頻繁に変更されるため、具体的な申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認いただくか、所轄の労働局または社会保険労務士までご相談ください。


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