「労働安全衛生法に基づく特別教育や技能検定の事前講習を建設労働者に受講させたいが、費用と賃金の両方が負担になる」
そうした建設事業主に向けて、技能実習の費用と受講中の賃金を国が支援する制度があります。
それが人材開発支援助成金「建設労働者技能実習コース」です。
建設業における労働者の育成と技能継承を図るため、建設労働者の技能向上のための訓練(技能実習)を実施した場合に、経費の一部と賃金の一部を助成します。
こんな企業におすすめ!
・ 建設労働者に労働安全衛生法に基づく特別教育(足場の組立て・解体など)を受講させたい
・ 技能検定(建築・土木・電気工事など)の事前講習を建設労働者に受講させたい
・ 登録基幹技能者講習や技能継承に係る指導者養成講習を実施したい
・ 建設業に従事する女性労働者の技能実習を実施したい
1. 建設労働者技能実習コースとは?
建設労働者技能実習コースは、建設業における労働者の育成および技能継承を図るため、建設労働者の技能向上のための訓練(技能実習)を実施する建設事業主に対して、技能実習に必要な経費の一部と技能実習を受講する労働者の賃金の一部を助成する制度です。
対象となる技能実習は、建設工事における作業に直接関連する技能実習のほか、労働安全衛生法に基づく特別教育・安全衛生教育・教習・技能実習、職業能力開発促進法に規定する技能検定の事前講習、建設業法施行規則に規定する登録基幹技能者講習、技能継承に係る指導者養成講習などです。
建設労働者認定訓練コースが「都道府県からの補助金を受けた認定職業訓練」を対象とする上乗せ助成であるのに対し、建設労働者技能実習コースは「建設工事に直接関連する技能実習」を幅広く対象とする独立した助成制度です。
2. いくらもらえる?
経費助成と賃金助成の2種類があります。
経費助成
技能実習の実施に要した費用のうち、一定の割合が助成されます。
1つの技能実習について、建設労働者1人あたり10万円が上限です。
助成される割合は、会社が雇用する雇用保険被保険者数によって異なります。
経費助成は技能実習を実施するすべての建設事業主が対象ですが、中小企業以外の建設事業主については女性建設労働者に係る技能実習を実施する場合に限り支給対象となります。
賃金助成
| 区分 | 助成額 |
|---|---|
| 雇用保険被保険者数が20人以下の中小建設事業主 | 1人1日あたり9,500円 |
| 雇用保険被保険者数が21人以上の建設事業主 | 1人1日あたり8,550円 |
技能実習を受講させる日についても、通常どおり賃金を支払うことが必要です。特定の要件を満たすことで上乗せ受給できる場合があります。
賃金助成は雇用する建設労働者に技能実習を受講させる中小建設事業主のみが対象です。
3. 活用事例
事例1:足場の組立て等特別教育の実施
建設業の会社(中小企業・被保険者15名)が、建設労働者5名に足場の組立て・解体作業に係る特別教育(2日間)を受講させたケース。受講費用は5名分で10万円。
受給額の試算
経費助成:一定割合(詳細は支給要領別表参照)
賃金助成:9万5千円(5名 × 2日 × 9,500円)
事例2:技能検定事前講習の実施
建設業の会社(中小企業・被保険者30名)が、建設労働者3名に建築大工技能検定の事前講習(5日間)を受講させたケース。
受給額の試算
賃金助成:12万7,500円(3名 × 5日 × 8,550円)
4. 支給要件
事業主の要件
- 技能実習を実施する建設事業主であること(経費助成)
中小企業以外の建設事業主は、女性建設労働者に係る技能実習を実施する場合に限り対象となります。 - 雇用する建設労働者に技能実習を受講させる中小建設事業主であること(賃金助成)
対象となる技能実習の要件
次のいずれかに該当する技能実習が対象です。
- 建設工事における作業に直接関連する技能実習
- 労働安全衛生法に基づく特別教育(支給要領別表5に掲げるもの)
- 労働安全衛生法に基づく安全衛生教育(支給要領別表5-2に掲げるもの)
- 労働安全衛生法に基づく教習および技能実習(支給要領別表6に掲げるもの)
- 職業能力開発促進法に規定する技能検定の事前講習(支給要領別表7に掲げる技能検定職種)
- 建設業法施行規則に規定する登録基幹技能者講習
- 技能継承に係る指導者養成講習
5. 申請の流れ
STEP1:計画届の提出
技能実習を実施しようとする日の3か月前から原則1週間前までに計画届を提出します。ただし、登録教習機関等が実施する技能実習を受講させる場合は計画届の提出は不要です。
STEP2:技能実習の実施
計画届の内容に沿って技能実習を実施します。受講日には通常どおり賃金を支払うことが必要です。
STEP3:支給申請書の提出
技能実習が終了した日の翌日から起算して2か月以内に、支給申請書と添付書類を管轄の都道府県労働局に提出します。
STEP4:審査・支給決定・振込
書類提出後、都道府県労働局で審査が行われます。支給決定後、指定の金融機関口座へ振り込まれます。
6. Q&A
Q1. 対象となる特別教育の種類はどこで確認できますか?
支給要領別表5「労働安全衛生法に基づく特別教育一覧」に掲げるものが対象となります。
足場の組立て等作業・アーク溶接・クレーン運転・高所作業車運転など、建設現場で必要とされる特別教育が広く含まれています。詳細は支給要領または管轄の都道府県労働局にてご確認ください。
Q2. 外部の登録教習機関が実施する技能実習を受講させる場合も対象になりますか?
はい、対象となります。
外部の登録教習機関等が実施する技能実習を受講させる場合は、計画届の提出が不要で、技能実習終了後に支給申請書を提出するだけで申請できます。
7. まとめ
建設労働者技能実習コースは、建設現場で必要とされる安全教育・技能検定講習などの費用と受講中の賃金を、国が経費助成と賃金助成の両面から支援する制度です。特に、登録教習機関等が実施する技能実習については計画届不要で申請できるため、手続きが比較的シンプルです。
建設業の現場では安全教育や技能検定受検のための講習が欠かせません。こうした訓練の費用負担を少しでも軽減したい場合は、まず対象となる技能実習の種類を支給要領で確認し、管轄の都道府県労働局または社会保険労務士にご相談ください。

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※本記事は2026年4月時点の法令・情報に基づき作成しています。助成金の支給要件は変更されることがあるため、具体的な申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認いただくか、所轄の労働局または社会保険労務士までご相談ください。
【参照資料】
厚生労働省「人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)リーフレット(令和8年度版)」
厚生労働省「人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)支給要領」