【人材確保等支援助成金(テレワークコース)】とは?在宅勤務の仕組みを導入して採用力と定着率を高める!制度整備で最大35万円


「在宅勤務の制度を整えたいが、就業規則をどう変えればいいかわからない」
「テレワークをすでに一部取り入れているが、ルールが曖昧なまま運用されている」
「育児中の従業員や遠方在住の求職者に対応するため、テレワーク制度を正式に導入したいと考えている」

「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」は、テレワーク制度を導入・実施することで人材確保や雇用管理改善の効果をあげた中小企業事業主に対して、国が最大35万円を助成する制度です。

この記事では、テレワークコースの要件・助成額・申請の流れを具体的に解説します。

こんな企業におすすめ!

・遠方在住の求職者にも対応できるようテレワーク制度を正式に整備したい
・テレワークをすでに一部取り入れているが、就業規則への明文化やルールの整備ができていない
・オフィスの賃料削減や採用コストの低減につなげるため、テレワーク制度を本格的に導入したい

1. テレワークコースとは?

「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」とは、中小企業事業主がテレワーク勤務を制度として導入・実施することで、人材確保や雇用管理改善の観点から効果をあげた場合に助成する制度です。

就業規則の整備、労務管理担当者や従業員への研修、外部専門家によるコンサルティングなど、テレワーク導入に向けた幅広い取り組みが助成の対象となります。

なお、本コースは事業主単位で支給されるものであり、事業所単位ではありません。複数の事業所を持つ法人であっても、法人全体で1つの申請となります。

新規導入事業主と実施拡大事業主の違い

申請にあたっては、自社が新規導入事業主と実施拡大事業主のどちらに該当するかを確認することが最初のステップです。

就業規則等にテレワーク勤務制度について規定すべき事項(テレワークの定義・対象者の範囲・手続き・留意事項等)のうち、テレワークの定義以外の項目を1つでも規定済みであれば実施拡大事業主、そうでなければ新規導入事業主となります。

実施拡大事業主は、テレワークをすでに一部導入しているが制度として整備できていない状態から、さらに拡大・整備することを目指す事業主です。新規導入事業主と比べて取り組み要件が一部異なります。

2. いくらもらえる?

テレワークコースの助成は制度導入助成と目標達成助成の2段階で構成されています。

まず制度導入助成でテレワーク制度の整備と実施実績を確認し、その後目標達成助成で離職率の低下とテレワーク継続実績を確認するという流れです。それぞれの助成額は以下の通りです。

制度導入助成:20万円
目標達成助成:10万円(賃金要件達成で15万円)

合計で最大35万円を受け取ることができます。

ここでいう目標達成とは、テレワーク制度を導入した結果として離職率が改善または維持され、かつテレワークの実施が継続されていることを指します。詳しくは支給要件の章で解説します。

賃金要件とは、評価期間(制度導入助成)の開始日から起算して1年以内に、テレワーク実施対象労働者の毎月決まって支払われる賃金を5%以上増加させることです。
この要件を達成した場合、目標達成助成の支給額が10万円から15万円に増額されます。

3. 活用事例

事例1:テレワーク制度を正式に整備して育児中の従業員の離職を防いだケース

育児中の従業員から在宅勤務の希望があったが、就業規則にテレワーク勤務の規定がなく、個別対応で運用していた。

就業規則にテレワーク勤務の対象者・手続き・労働時間の取り扱い等を明文化し、企業トップからテレワーク推進のメッセージを全従業員に周知する取り組みを実施。

評価期間(制度導入助成)中に対象労働者全員が1回以上テレワークを実施し、制度導入助成20万円を受給した。その後の目標達成助成の評価期間でも離職率が改善し、追加で10万円を受給した。

事例2:テレワーク未経験の従業員向けに研修を実施して制度が定着したケース

これまでテレワークの経験がなく、導入に際して従業員から不安の声があがっていた。

テレワークに関する研修を全従業員向けに実施し、就業規則を整備したうえで評価期間中に週平均1回以上のテレワークを実施。

制度が職場に定着し、遠方在住の求職者への対応も可能になった。評価期間(制度導入助成)終了後に制度導入助成20万円を受給した。

事例3:テレワーク実績の記録が不十分で申請できなかったケース

テレワークを実施したが、在宅での就業を証明できる資料(始業・終業時のメール、GPSログ等)を記録していなかったケース。

申請時にテレワーク実績を証明できず、制度導入助成を受給できなかった。

※テレワーク実施にあたっては、実施日ごとに就業状況が確認できる記録を残すことが必須です。

事例4:コンサルティングの内容がガイドラインを踏まえたものでなく要件を満たさなかったケース

外部専門家によるコンサルティングを実施したが、その内容がテレワークツールの使い方説明のみだったケース。

申請時に、コンサルティングの内容が「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を踏まえたものでなければならないという要件を満たさないと判明し、申請できなかった。

※コンサルティングや研修はツールの操作説明ではなく、テレワークの適切な導入・実施に関する内容である必要があります。

4. 支給要件

事業主の要件(制度導入助成・目標達成助成 共通)

  1. 中小企業事業主であること。
    テレワークコースは中小企業事業主のみが対象です。
  2. 過去3年以内に人材確保等支援助成金(テレワークコース)の支給を受けていないこと。
    支給申請書(制度導入助成)が労働局長に提出された日から過去3年以内に本助成金の支給を受けている事業主は対象外です。
  3. 令和4年度以降に人材確保等支援助成金(テレワークコース)に係るテレワーク実施計画書の認定を受けていないこと。
    ただし、実施計画に基づく助成金の支給がなされておらず、今後当該計画に基づく支給申請の可能性がない事業主を除きます。

制度導入助成の要件

  1. 評価期間(制度導入助成)の初日から起算して前3か月の間に、テレワーク勤務制度について以下の事項を規定した就業規則等を整備していること。
    ・テレワークの定義・テレワーク勤務の対象者の範囲・テレワーク勤務を行う際の手続き・留意事項に関する規定
    ・テレワーク勤務の対象者やテレワークを実施した労働者に適用する労働時間・人事評価・人材育成・費用負担・手当に関する取り扱いが、その他の労働者と異なる場合はその取り扱いに関する規定(同一である場合はその旨を就業規則等に明示的に規定すればよい)
    なお、テレワーク勤務制度の対象者の範囲については、正規雇用労働者・非正規雇用労働者といった雇用形態の違いのみを理由として対象から除外することのないよう注意が必要です。

    実施拡大事業主の場合は、評価期間(制度導入助成)の初日から申請書提出日を通じて有効な上記要件を満たす就業規則等を制定・施行していることが必要です。一部の事項を規定済みの場合でも、残りの事項について整備する必要があります。
  2. 評価期間(制度導入助成)の初日から起算して前3か月の間に、以下の取組を実施していること。
    新規導入事業主:①(必須)および③〜⑤のいずれか1つ以上(選択)
    実施拡大事業主:①(必須)および②〜⑤のいずれか1つ以上(選択)

    ① 労働者がテレワークを実施しやすい職場風土作りの取組(必須)
    企業トップ等からのメッセージの発信・社内呼びかけ、テレワーク実施促進のための資料配布・社内周知、テレワーク導入または実施の事例収集・社内周知など。全労働者に周知された全社的な取組であることが必要です。
    ② 就業規則等の拡充(実施拡大事業主のみ選択可)
    テレワーク可能な職種や部署を拡大する、テレワークに要する費用を支給することとするなど、テレワークの利用拡大に資する変更であることが必要です。
    ③ 外部専門家によるコンサルティング
    ④ 労務管理担当者に対する研修
    ⑤ 労働者に対する研修
    ※③〜⑤のコンサルティング・研修は、テレワークツールの使い方等の操作説明ではなく、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を踏まえた内容であることが必要です。
  3. 評価期間(制度導入助成)の3か月間において、テレワーク実施対象労働者が自宅またはサテライトオフィス等においてテレワークを実施した実績が、以下の要件を満たすこと。
    新規導入事業主:(イ)を満たすこと
    実施拡大事業主:(イ)および(ロ)の両方を満たすこと

    (イ) 以下のいずれかを満たすこと
    ① テレワーク実施対象労働者全員が1回以上テレワークを実施
    ② テレワーク実施対象労働者のテレワーク実施回数の週間平均が1回以上

    (ロ) テレワーク実施対象労働者の延べテレワーク実施回数を、評価期間の初日の前日から起算した前3か月間と比して25%以上増加させること。

    なお、ここでいうテレワークとは、在宅または労働者の実家・滞在先のホテル・コワーキングスペース等の、通常の勤務地とは異なる場所での就業を指します。単に出張先で業務を行う場合は含まれません。

目標達成助成の要件

  1. 制度導入助成の支給を受けた事業主であること。
  2. 申請書提出日時点において、テレワーク勤務制度を規定した就業規則等が引き続き適用されていること。
  3. 制度導入後離職率(評価期間(制度導入助成)後12か月間の離職率)が、制度導入前離職率以下であること、かつ30%以下であること。なお、新規創業等により制度導入前離職率の算出ができない場合は、制度導入後離職率が0%であることが条件となります。
  4. 評価期間(目標達成助成)の3か月間における延べテレワーク実施回数が、評価期間(制度導入助成)における実績以上であること。
    具体的には以下の計算式を満たすことが必要です。
    評価期間(目標達成助成)における延べテレワーク実施回数 ≧(評価期間(目標達成助成)初日の対象事業所の労働者数 ÷ 評価期間(制度導入助成)初日の対象事業所の労働者数)× 評価期間(制度導入助成)における延べテレワーク実施回数
  5. 賃金要件加算を受ける場合は、評価期間(制度導入助成)の開始日から起算して1年以内に、テレワーク実施対象労働者の毎月決まって支払われる賃金を5%以上増加させていること。

5. 申請の流れ

テレワークコースは制度導入助成と目標達成助成で申請が2回に分かれています。

■制度導入助成の申請

STEP1. 新規導入事業主か実施拡大事業主かを確認する

就業規則等にテレワーク勤務制度について規定すべき事項のうち、テレワークの定義以外の項目を1つでも規定済みであれば実施拡大事業主、そうでなければ新規導入事業主となります。自社の区分によって必要な取組の内容が一部異なるため、最初に確認することが重要です。

STEP2. 就業規則等の整備とテレワークを可能とする取組を実施する

評価期間(制度導入助成)の開始日から起算して前3か月の間に、就業規則等の整備および取組(職場風土作りの取組・研修・コンサルティング等)を実施します。

STEP3. 評価期間(制度導入助成)を開始する

STEP2の要件を満たした日から起算して3か月を経過する日までの間において、任意に開始日を設定します。評価期間は3か月間です。この3か月間にテレワーク実績要件を達成することが必要です。

STEP4. 支給申請書(制度導入助成)を提出する

評価期間(制度導入助成)末日の翌日から起算して2か月以内に、支給申請書(様式第1号)と必要書類を管轄の都道府県労働局に提出します。

主な提出書類は以下の通りです。
・支給申請書(様式第1号)
・テレワーク実施対象労働者名簿(様式第1号別紙1)
・テレワークの実施状況・助成要件の達成状況が分かる資料(様式第2号)
・就業規則等(テレワーク勤務制度を規定したもの)
・テレワーク実施日に就業していたことが分かる書類(出勤簿等)
・テレワーク実施日に在宅またはサテライトオフィス等において就業していたことが証明できる資料(GPSによる位置情報等を記録できる機器のログ情報・始業・終業メール等)
・職場風土作りの取組を実施したことが確認できる資料
・研修またはコンサルティングを実施したことが確認できる資料(カリキュラム・受講証明書等)
・支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)

■目標達成助成の申請

STEP5. テレワーク実績要件等の達成に取り組む

制度導入助成の評価期間終了後、引き続き3か月間の評価期間(目標達成助成)においてテレワーク実績要件等の達成に取り組みます。あわせて、評価期間(制度導入助成)後12か月間の離職率(制度導入後離職率)を測定します。

STEP6. 支給申請書(目標達成助成)を提出する

評価期間(目標達成助成)末日の翌日から起算して2か月以内に、支給申請書(様式第3号)と必要書類を管轄の都道府県労働局に提出します。

主な提出書類は以下の通りです。
・支給申請書(様式第3号)
・テレワーク実施対象労働者名簿(様式第1号別紙1)
・事業所確認票(様式第3号別紙2)
・テレワークの実施状況・助成要件の達成状況が分かる資料(様式第4号)
・テレワーク実施日に就業していたことが分かる書類(出勤簿等)
・テレワーク実施日に在宅またはサテライトオフィス等において就業していたことが証明できる資料
・離職者がいる場合、その離職状況が分かる書類(離職証明書・雇用保険被保険者資格喪失確認通知書等)
・賃金要件を申請する場合は増額改定後の雇用契約書・増額改定前後3か月間の賃金台帳等
・支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)

6. よくある質問

Q. すでに一部テレワークを導入していますが申請できますか?

申請できます。テレワーク勤務制度について規定すべき事項のうち、テレワークの定義以外の項目を1つでも就業規則等に規定済みであれば「実施拡大事業主」として申請できます。実施拡大事業主の場合は未整備の事項を就業規則等に追加整備したうえで、テレワーク実績要件として評価期間の延べテレワーク実施回数を評価期間前3か月と比べて25%以上増加させることが必要です。

Q. テレワーク実績はどのように証明すればよいですか?

テレワーク実施日に就業していたことが確認できる書類(出勤簿等)と、在宅またはサテライトオフィス等において就業していたことが証明できる資料(GPSによる位置情報等を記録できる機器のログ情報、始業・終業メール等)の両方が必要です。テレワーク実施時から記録を残しておくことが重要です。

Q. 制度導入助成を受給した後、目標達成助成を申請しないことはできますか?

可能です。制度導入助成と目標達成助成はそれぞれ独立した申請であり、制度導入助成のみを受給することもできます。
一方、目標達成助成は制度導入助成を受給した事業主のみが申請できるため、目標達成助成を受給するには先に制度導入助成を受給していることが必要です。

Q. テレワーク実施対象労働者は全員テレワークをしなければなりませんか?

新規導入事業主の場合は、テレワーク実施対象労働者全員が評価期間(制度導入助成)の3か月間に1回以上テレワークを実施するか、テレワーク実施対象労働者のテレワーク実施回数の週間平均が1回以上であることが必要です。
ただし、業務上の理由によりテレワークが困難な労働者については対象者から除外することができます。

Q. 出張先での業務はテレワーク実績として認められますか?

この場合、認められません。
テレワークとは、在宅または労働者の実家・滞在先のホテル・コワーキングスペース等の、通常の勤務地とは異なる場所での就業を指します。
単に出張先で業務を行う場合はテレワーク実績には含まれません。

Q. 賃金要件の5%増加は全従業員が対象ですか?
A
テレワーク実施対象労働者全員が対象です。
ただし、賃金改定前後3か月の期間に個人的な事情により労働時間の増減があった者、賃金の支払の様態に変更があった者(月給制から時給制への変更等)、その他合理的な理由により比較が困難な者については対象から除外することができます。

7. まとめ

人材確保等支援助成金(テレワークコース)は、テレワーク勤務制度を就業規則に整備し、実際に従業員がテレワークを実施した実績を積み上げることで、制度導入助成20万円を受け取ることができる制度です。

さらに、制度導入後の離職率の改善とテレワークの継続実施が確認できた場合には、目標達成助成として追加で10万円(賃金を5%以上引き上げた場合は15万円)が支給され、合計最大35万円を受け取ることができます。

すでに一部テレワークを取り入れている場合でも、就業規則への明文化が不十分であれば実施拡大事業主として申請できる可能性があります。

育児中の従業員が継続して働ける環境を整えたい、遠方在住の求職者にも対応できるよう採用の幅を広げたいといった目的でテレワーク制度の整備を検討している事業主にとって、取り組みの費用負担を軽減する制度です。

注意が必要なのは、テレワーク実績を証明するための記録(始業・終業メール、GPSログ等)を実施時から残しておくことと、研修やコンサルティングの内容がテレワークツールの操作説明ではなく、テレワークの適切な導入・実施に関するものでなければならない点です。

まずは自社が新規導入事業主と実施拡大事業主のどちらに該当するかを確認し、就業規則の整備状況を点検することから始めましょう。

要件の詳細や自社の状況への当てはめ方については、管轄の都道府県労働局またはハローワーク、もしくは社会保険労務士にご相談ください。

お気軽にお問い合わせください

【参照資料】
厚生労働省「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」のご案内(令和8年度版)

👉 厚生労働省:人材確保等支援助成金(テレワークコース)公式ページ(申請書・要領のダウンロードはこちら)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/telework_zyosei_R3.html

※本記事は2026年4月時点の法令・情報に基づき作成しています。
助成金の支給要件は頻繁に変更されるため、具体的な申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認いただくか、所轄の労働局または社会保険労務士までご相談ください。


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