【令和8年度最新/人材確保等支援助成金】とは?コースの種類・助成額・申請の流れをわかりやすく解説


求人サイトに掲載しても応募がなく、ようやく採用できた従業員も半年で辞めてしまう。
「うちの会社に問題があるのだろうか」と感じながらも、何をどう改善すればいいかわからない。

給与の水準、手当の有無、評価の仕組み、働き方の柔軟さ。こうした職場の条件は、採用時の応募数にも、入社後の定着率にも、じわじわと影響し続けます。とはいえ、制度を整えるには時間もお金もかかる、というのが中小企業の本音ではないでしょうか。

「人材確保等支援助成金」は、こうした職場環境の改善に取り組む事業主を国が支援する制度です。賃金の仕組みを整えたり、外国人従業員向けに就業規則を多言語化したり、在宅勤務の制度を導入したりといった取り組みが対象となります。

この記事では、制度の全体像とコースごとの内容を具体的に解説します。

こんな企業におすすめ!

・求人を出しても応募が集まらず、採用活動がうまくいっていない
・採用してから1年以内に辞めてしまう従業員が続いている
・給与の計算方法や手当の内容が就業規則に明文化されておらず、従業員に説明しにくい状態になっている
・外国人の従業員が働いているが、就業規則や労働条件を母国語で伝えられていない
・育児中の従業員や遠方の求職者に対応するため、在宅勤務の制度を整えたいと考えている

1. 人材確保等支援助成金とは?

「人材確保等支援助成金」とは、魅力ある職場づくりのために労働環境の向上等を図る事業主や事業協同組合等に対して助成するものであり、人材の確保・定着を目的とした制度です。

キャリアアップ助成金が「非正規雇用の従業員の待遇改善」を目的としているのに対し、人材確保等支援助成金は「職場そのものの環境を整備することで、人が集まり、定着する職場をつくる」ことを目的としています。

制度を導入して終わりではなく、導入後に実際に離職率が下がったかどうかを確認したうえで助成金が支給される、という点がこの助成金の大きな特徴です。

コースは全部で7種類あり、業種や目的に応じて選ぶことができます。

【コース一覧】

(a) 雇用管理制度・雇用環境整備助成コース|全業種|最大230万円(賃金要件達成で最大325万円)
(b) 中小企業団体助成コース|事業協同組合等|対象経費の2/3(上限600〜1,000万円)
(c) 建設キャリアアップシステム等活用促進コース|建設業|技能者1人あたり16万円等
(d) 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)|建設業|対象経費の3/5等
(e) 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)|建設業|対象経費の3/5等
(f) 外国人労働者就労環境整備助成コース|全業種|最大80万円
(g) テレワークコース|全業種(中小企業)|最大35万円

中小企業の経営者や人事担当の方が活用しやすいのは、全業種を対象とした(a)(f)(g)の3コースです。(c)(d)(e)は建設業向け、(b)は事業協同組合等が申請主体となるコースです。

2. 活用事例

事例1:資格手当を新設して離職率が改善した介護事業所((a)雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)

介護スタッフ10名を雇用する訪問介護事業所。資格を持つスタッフと持たないスタッフの賃金に差がなく、「資格を取っても給与が変わらない」という不満が離職の一因になっていた。

雇用管理制度等整備計画を提出したうえで、介護福祉士や初任者研修修了者に対する資格手当を就業規則に新設。制度の導入後、資格取得を目指すスタッフが増え、計画期間終了後の評価時離職率が目標を達成し、助成金を受給した。

事例2:就業規則を多言語化して外国人従業員の定着率が上がった製造業((f)外国人労働者就労環境整備助成コース)

製造ラインに外国人従業員を5名雇用する中小メーカー。就業規則は日本語のみで作成されており、労働条件や服務規律の内容が十分に伝わっていなかった。

就業規則とともに雇用労務責任者を選任し、母国語での書面交付と相談窓口の設置を実施。従業員が職場のルールを正確に理解できるようになり、入社初年度の離職が減少した。

事例3:計画提出前に制度を導入してしまい、申請できなかったケース

雇用管理制度の導入を決めた後、計画書を提出する前に就業規則の変更と手当の支給を先に実施してしまったケース。
申請時に「計画認定前の導入は対象外」と判明し、今回の取り組み分は申請できなかった。

人材確保等支援助成金は、計画書を提出して認定を受けた後に制度を導入する順番が絶対です。取り組みを始める前に、必ず計画を提出してください。

3. 申請までの流れ

コースによって細部は異なりますが、基本的な流れは共通しています。

STEP1. 計画書の作成・提出

取り組む内容と期間を記載した計画書を、管轄の都道府県労働局に提出し、認定を受けます。

STEP2. 制度の導入・実施

認定を受けた計画に基づき、各コースで定められた取り組みを実施します。

STEP3. 目標の達成確認

(a)(f)コースは、計画期間終了後12か月間の離職率を測定し、計画時と比較して目標を達成していることを確認します。

STEP4. 支給申請

目標達成の確認後、所定の期限内に支給申請書と必要書類を提出します。

いずれのコースも、計画書を提出して認定を受けてから取り組みを開始する順番が大前提です。先に制度を導入してしまうと、要件を満たさず申請できなくなります。
各コースの詳しい申請手順は、それぞれの個別記事で解説します。

4. よくある質問

Q. 複数のコースを同時に申請することはできますか?

コースごとに申請主体や要件が異なるため、同一の取り組みについて複数のコースから重複して助成を受けることはできません。
ただし、取り組みの内容が異なる場合は、複数のコースを組み合わせて活用できる場合があります。

5. まとめ

人材確保等支援助成金は、「採用できない」「定着しない」という職場の課題に対して、制度の整備という形で正面から取り組んだ事業主を支援する助成金です。

給与体系を整えたい、外国人従業員が安心して働ける環境をつくりたい、在宅勤務の制度を導入して採用の幅を広げたいなど、目的に応じて7つのコースから選ぶことができます。

キャリアアップ助成金が「今いる非正規雇用の従業員の待遇を改善する」ための助成金であるのに対し、人材確保等支援助成金は「職場の仕組みそのものを整えることで、人が集まり、長く働き続けられる環境をつくる」ための助成金です。どちらか一方ではなく、両方を組み合わせて活用している会社も多くあります。

注意が必要なのは、いずれのコースも計画書を提出して認定を受けてから取り組みを始める順番であること、そして離職率の目標達成が支給の条件となるコースがある点です。
まずは自社の離職の状況と、どのコースの取り組みが現実的に実施できそうかを確認することから始めましょう。

要件の詳細や自社の状況への当てはめ方については、管轄の都道府県労働局またはハローワーク、もしくは社会保険労務士にご相談ください。

お気軽にお問い合わせください

【参照資料】
厚生労働省「人材確保等支援助成金」各種ご案内

👉 厚生労働省:人材確保等支援助成金 公式ページ

※本記事は2026年4月時点の法令・情報に基づき作成しています。
助成金の支給要件は頻繁に変更されるため、具体的な申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認いただくか、所轄の労働局または社会保険労務士までご相談ください。


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