【令和8年度最新/業務改善助成金】PC・タブレットは対象になる?例外的に認められる3パターンを解説


「業務効率化のために、事務所のパソコンを新しくしたい。業務改善助成金が使えると聞いて調べてみたら、”パソコンは対象外”と書いてある。かと思えば、”パソコンも対象になる”という情報も見つかった。結局、どちらが正しいのか」

結論からお伝えすると、業務改善助成金では、パソコンは原則として対象外です。

ただし、例外的に対象となる3つのケースがあります。

・POSシステムや会計給与システムなど、特定の業務専用のシステムを動かすために導入する場合
業務用の高機能な機器を動かすために必要なパソコンを一緒に導入する場合
物価高騰などで利益率が下がった特例事業者が、パソコンを新規に導入する場合

この記事では、令和8年度の交付要領・Q&Aに基づいて、パソコンが原則対象外である理由と、例外的に対象となる3つのケースを整理します。
「うちが買いたいパソコンは対象になるのか」を、申請前に判断できるようにすることが目的です。

こんな企業におすすめ!

・業務用にパソコンやタブレットを導入したいが、対象になるか分からない
・POSシステムや予約管理システムを、タブレットで動かして導入したい
・業務用の高機能な機械と一緒に、それを動かすためのパソコンを導入したい
・物価の高騰で利益が圧迫されており、設備投資に助成金を活用したい
・ネット上で「パソコンは対象」「対象外」の両方の情報を見て、どちらが正しいか確認したい

1. 原則、パソコンは助成対象外

業務改善助成金の設備投資は、9つの経費区分に分かれています。
そのうち、機械や設備を購入する費用は「機械装置等購入費」という区分にあたりますが、この区分からは、パソコン(タブレット端末やスマートフォン、周辺機器を含む)が明確に除かれています(業務改善助成金交付要領 別紙3より)。

対象外とされているのは、パソコンが特定の作業に特化した機械ではなく、事務作業から情報収集まで幅広く使える汎用的な機器だからです。
同じように、汎用の事務機器の購入費も対象外とされています(業務改善助成金Q&A 問24より)。
業務改善助成金が求めているのは、特定の工程の作業時間を直接短縮したり、特定の作業を自動化したりする設備であり、何にでも使える道具は、その効果を特定しにくいためです。

裏を返せば、パソコンであっても、特定の業務のためだけに使うことが明らかな場合や、特定の条件を満たす場合には、例外的に対象となることがあります。
次の章から、その3つのケースを順に見ていきます。

2. 例外1|特定業務専用のシステムを動かすために導入する場合

1つ目の例外は、特定の業務専用のシステムを動かすためにパソコンを導入する場合です。

パソコンであっても、例えばPOSシステムや会計給与システムなど、特定業務専用のシステムを稼働させるための目的で導入することが明らかである場合は、対象となる場合があります(業務改善助成金交付要領 別紙3(注3)より)。

例えば、飲食店で予約と顧客管理を一元化するシステムを導入し、そのシステムを動かすためのタブレットを導入する場合が、これにあたります。この場合のタブレットは、汎用の道具ではなく、予約管理という特定業務のための機器として使われます。

なお、対象になるかどうかは、そのパソコンやタブレットが特定業務専用のシステムを動かすためのものであることを、申請の際に客観的に示せるかどうかにかかっています。
労働局は、導入するシステムの内容や、そのパソコンがシステムの稼働にどう使われるのかを、事業実施計画書などの記載内容で確認します。
汎用のパソコンとの外見上の違いで判断されるわけではないため、どの業務システムを動かすための機器なのかを、計画書の中で具体的に説明できるように準備しておくことが重要です。

3. 例外2|業務用の高機能機器の稼働に必要な場合

2つ目の例外は、業務用の高機能な機器を導入する際に、その機器を動かすために必要なパソコンを一緒に導入する場合です。

例えば、布地に印刷する業務用の高機能プリンターを導入するケースで考えます。
このプリンターを動かすために、一定以上のスペックのパソコンや、大容量のハードディスクが要求仕様として必要で、事務作業用の汎用パソコンでは対応できない場合に限り、そのパソコンやハードディスクも対象になり得ます(業務改善助成金Q&A 問34より)。

例外1との違いは、パソコンの位置づけです。
例外1は、業務システムを動かす専用機としてパソコンそのものを導入するケースでした。この例外2は、主役となる高機能機器があり、そのパソコンは機器を動かすために不可欠な付属設備として導入されるケースです。

ポイントは、”汎用のパソコンでは対応できない”という点です。
市販の一般的なパソコンで足りるのであれば、それは汎用機器として対象外になります。導入する高機能機器の稼働に、そのパソコンのスペックやハードディスク容量が必要不可欠であることを、機器の仕様に基づいて示せる場合に対象となります。

4. 例外3|物価高騰等要件を満たす特例事業者が新規購入する場合

3つ目の例外は、これまでの2つとは性質が異なります。
パソコンの使い方ではなく、事業者が特定の条件を満たしているかどうかで対象になるケースです。

業務改善助成金には「特例事業者」という区分があり、そのうち物価高騰等要件を満たす事業者は、通常は対象外となるパソコン(タブレット端末やスマートフォン、周辺機器を含む)の新規購入が、対象になる場合があります(業務改善助成金交付要領、業務改善助成金Q&A 問23より)。

物価高騰等要件とは、原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化といった外的な要因により、最近6か月間平均の売上高総利益率または売上高営業利益率が、前年の同じ時期に比べて3%ポイント以上低下している、という条件です。
例えば、小麦価格の高騰で利益率が下がった飲食店などが、これに当たる可能性があります。この要件を満たすことを示すには、申請の際に、利益率を記載した申出書と、それを裏づける書類(月次の損益計算書や試算表など)を提出します。

この例外には、2つの注意点があります。

1つ目は、対象になるのが新規購入に限られる点です。これまで使っていたパソコンを新しいものに入れ替える場合は、対象になりません。

2つ目は、この例外が使えるのは物価高騰等要件を満たす特例事業者に限られる点です。特例事業者には、このほかに事業場内最低賃金が1,050円未満であることによる区分もありますが、パソコンの新規購入が対象になるのは物価高騰等要件のほうです。

なお、特例事業者に該当すると、パソコンが対象になるだけでなく、助成の上限額が引き上げられるなどの利点もあります。特例事業者の要件や申請方法の詳しい解説は、別記事にまとめています。

5. 3つのケースの比較表

パソコンが対象になる3つの例外を、一覧にまとめます。

例外1 特定業務専用システム例外2 高機能機器の付属例外3 物価高騰等の特例事業者
対象になる条件特定業務専用のシステムを動かす目的が明らかなこと高機能機器の稼働に必要な仕様で、汎用パソコンでは対応できないこと物価高騰等要件を満たす特例事業者であること
パソコンの位置づけ業務システムを動かす専用機主役となる高機能機器の付属設備事業者の条件を満たせば汎用機でも新規購入が対象
主な注意点使用目的を申請時に客観的に示す必要がある汎用パソコンで足りる場合は対象外新規購入に限られ、入れ替えは対象外

6. 活用事例

事例1|予約管理システムの専用機としてタブレットを導入した(例外1)

ある美容室では、予約の受付を電話と紙の台帳で管理していた。予約の重複や記入漏れが起きやすく、スタッフが電話対応に追われて施術の手が止まることもあった。

そこで、予約と顧客情報を一元管理するシステムを導入し、そのシステムを動かすためのタブレットを受付に設置することにした。

タブレットは、メールやインターネットに使う汎用の機器としてではなく、予約管理システムを動かす専用機として導入した。

導入後は予約の重複がなくなり、電話対応の時間も減った。

  • 設備投資額:30万円(システムとタブレット)
  • 事業場内最低賃金:1,050円以上(助成率4分の3)
  • 申請コース:50円コース(1人引上げ)
  • 助成額:22万5,000円(30万円×4分の3、上限額の範囲内)

タブレットやパソコンそのものは原則対象外ですが、特定の業務システムを動かす専用機として使うことを明確にできれば、対象になり得ます。汎用の道具としてではなく、何のために使う機器なのかを、申請書ではっきり示すことが大切です。

事例2|高機能プリンターとセットで専用パソコンを導入した(例外2)

ある印刷業の事業者は、布地に印刷できる業務用の高機能プリンターを導入することにした。このプリンターは、印刷データの処理に高いスペックのパソコンと大容量のハードディスクを必要とし、家電量販店で売られているような一般的なパソコンでは動かせない仕様だった。

そこで、プリンター本体と合わせて、その稼働に必要なスペックのパソコンとハードディスクも導入した。申請の際には、プリンターの仕様書をもとに、汎用のパソコンでは対応できず、この仕様のパソコンが稼働に不可欠であることを示した。パソコン単体では対象外だが、高機能機器の稼働に必要な付属設備として認められた。

  • 設備投資額:200万円(プリンター、専用パソコン、ハードディスク)
  • 事業場内最低賃金:1,050円以上(助成率4分の3)
  • 申請コース:70円コース(4人引上げ)
  • 助成額:130万円(200万円×4分の3=150万円だが、上限額130万円が適用)

この事例のポイントは、パソコンが主役ではなく、高機能プリンターを動かすための付属設備だという点です。市販のパソコンで足りる場合は対象になりませんが、機器の稼働に不可欠な仕様であることを示せれば、対象として認められます。

事例3|物価高騰で利益が減った飲食店がパソコンを新規導入した(例外3)

ある飲食店では、小麦や食用油などの原材料価格の高騰が続き、売上高総利益率が前年の同じ時期に比べて大きく下がっていた。この状況で、注文管理や売上分析を効率化するためにパソコンを新しく導入したいと考えていた。

この事業者は、最近6か月間平均の利益率が前年同期に比べて3%ポイント以上低下しており、物価高騰等要件を満たす特例事業者に当たった。そのため、通常は対象外となるパソコンの新規購入が、対象になった。

  • 設備投資額:20万円(パソコン)
  • 事業場内最低賃金:1,050円以上(助成率4分の3)
  • 申請コース:50円コース(1人引上げ)
  • 助成額:15万円(20万円×4分の3、上限額の範囲内)

例外3は、パソコンの使い方ではなく、事業者が置かれた状況で対象になるケースです。物価高騰で利益が圧迫されている事業者にとっては、通常なら対象外のパソコンも助成の対象にできる余地があります。ただし、対象になるのは新規購入に限られ、既存のパソコンの買い替えは対象になりません。

失敗事例|業務効率化のために汎用パソコンを人数分購入しようとした

ある事業者は、従業員の作業を効率化するために、事務所のパソコンを従業員全員分、新しいものに買い替えることにした。業務改善助成金で購入できると考え、申請を検討した。

しかし、購入しようとしていたのは、書類作成やメール、インターネットなどに幅広く使う一般的なパソコンだった。特定の業務システムを動かす専用機でもなく、高機能機器の稼働に必要な付属設備でもなく、また、この事業者は特例事業者にも当たらなかった。汎用のパソコンの購入・買い替えは対象外であり、いずれの例外にも該当しなかったため、対象にはならなかった。

パソコンの購入は、業務の効率化に役立つ前向きな投資です。ただ、業務改善助成金では、汎用の道具として使うパソコンは原則として対象外です。パソコンの導入を検討する際は、それが3つの例外のどれかに当てはまるかを、購入前に確認しておくことが大切です。

7. Q&A

Q1|特定業務専用として導入したパソコンを、普段の業務にも使ってよいですか?

特定業務専用のシステムを動かすためのパソコンとして申請し対象になった場合、そのパソコンは申請した目的で使うことが前提です。申請内容と実際の使い方が伴わない場合、対象と認められなかったり、支給後に返還を求められたりすることがあります。

業務改善助成金では、労働局が交付要件の判断に必要と認めるときは、現地調査を行うことができます。また、助成金の支給後も、見積書や契約書、支払いを確認できる書類などを5年間保存する義務があり、事後の検査の対象になることもあります(業務改善助成金交付要領より)

Q2|今使っているパソコンの買い替えは対象になりますか?

原則として、対象になりません。物価高騰等要件を満たす特例事業者がパソコンを導入する場合(例外3)でも、対象になるのは新規購入に限られ、既存のパソコンの入れ替えは対象外です(業務改善助成金Q&A 問23より)。

ただし、特定業務専用のシステムを動かすために新たに導入する場合(例外1)や、高機能機器の稼働に必要な付属設備として導入する場合(例外2)は、これまで事務用のパソコンを使っていたとしても、その用途とは別に、新たな目的のために導入する機器として対象になり得ます。

Q3|タブレットやスマートフォンも、パソコンと同じ扱いですか?

はい、同じ扱いです。業務改善助成金では、タブレット端末やスマートフォン、これらの周辺機器も、パソコンと同じく原則対象外とされています(業務改善助成金交付要領より)。したがって、これまで説明した3つの例外も、タブレットやスマートフォンに同じように当てはまります。

例えば、予約管理システムを動かす専用機としてタブレットを導入する場合は例外1に、物価高騰等要件を満たす特例事業者がタブレットを新規購入する場合は例外3に当たります。

Q4|中古のパソコンでも対象になりますか?

3つの例外のいずれかに当てはまれば、中古品でも対象になり得ます。
ただし、中古品は価格の適正性が明確でないため、3者以上の古物商の許可を得ている中古品流通業者から、型式や年式が記載された相見積もりを提出する必要があります(業務改善助成金交付要領より)。

なお、例外3(物価高騰等要件の特例事業者)については、対象が新規購入に限られるため、中古品であっても、これまで使っていたパソコンの入れ替えにあたる場合は対象になりません。

8. まとめ

業務改善助成金では、パソコンは原則として対象外ですが、例外的に対象になる3つのケースを解説しました。
1つ目は、POSシステムや予約管理システムなど、特定業務専用のシステムを動かす専用機として導入する場合。
2つ目は、業務用の高機能機器を動かすために、その稼働に不可欠な仕様のパソコンを付属設備として導入する場合。
3つ目は、物価高騰などで利益率が下がった特例事業者が、パソコンを新規に購入する場合です。

パソコンの導入を考えているなら、まずは「そのパソコンを何のために使うのか」を整理することから始めましょう。
特定の業務システムを動かすためなのか、高機能機器とセットで必要なのか、あるいは自社が物価高騰等要件を満たす特例事業者に当たるのか。この3つのどれかに当てはまるかを確認することが、判断の出発点になります。

自社のケースが例外に当てはまるか判断が難しい場合や、特例事業者に該当するかどうかを確認したい場合は、事業場の所在地を管轄する都道府県労働局や、社会保険労務士に相談することをおすすめします。

お気軽にお問い合わせください

【参照資料】

  • 厚生労働省「業務改善助成金 交付要領(令和8年度版)」
  • 厚生労働省「業務改善助成金 Q&A(令和8年度版)」
  • 厚生労働省「業務改善助成金のご案内(令和8年度版)」

👉 厚生労働省:業務改善助成金(交付要綱・要領・Q&A・申請様式のダウンロードはこちら)

※本記事は令和8年7月時点の法令・情報に基づき作成しています。助成金の支給要件は変更されることがあるため、申請の際は必ず最新の交付要綱・要領・Q&Aをご確認ください。


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