【キャリアアップ助成金/正社員化コース】とは?対象要件・助成額・申請の流れをわかりやすく解説

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長く活躍してくれているパートやアルバイトまたは契約社員として働いてくれている従業員を、そろそろ正社員として迎えたい。会社の仕事を十分に覚えて、後輩の指導も任せられる存在になった従業員に、正式なポジションを用意したいと考える経営者の方は多いかと思います。

正社員への転換は、その従業員にとっても会社にとっても大きな一歩です。
キャリアアップ助成金の「正社員化コース」は、そうした取組を後押しする制度として、転換1人あたり最大80万円(中小企業)の助成が受けられる制度です!

こんな企業におすすめ!

・パートや契約社員として数年間活躍してくれている従業員を、正社員として迎えたいと考えている
・就業規則に正社員転換の制度をまだ設けておらず、どう整備すればいいか迷っている
・派遣スタッフを自社で直接雇用し、正社員として一緒に働いてもらいたい
・勤務地や職務を限定した「限定正社員」という働き方を新たに導入したい
・正社員転換の手続きに必要な書類や要件がよくわからず、申請を後回しにしている

1. 正社員化コースとは?

「正社員化コース」とは、
・就業規則(または労働協約その他これに準ずるもの)に規定した制度に基づき、
・「有期雇用労働者等」を正社員へ転換した場合に助成する制度です。

まず、就業規則に正社員転換制度を定めることが必要です。例えば、「5年以上勤務したパート・アルバイトを正社員に転換できる」といった制度を就業規則に明文化します。そして、その規程に基づいてパート・アルバイトや契約社員を実際に正社員に転換し、6か月分の賃金を支給してから申請します。
口約束や個別の話し合いだけで転換しても、助成の対象にはなりません。就業規則への規定が出発点です。

2. いくらもらえる?

基本の助成額(中小企業・1人当たり)

転換前の雇用形態重点支援対象者左記以外
有期雇用労働者→正規雇用労働者80万円40万円
無期雇用労働者→正規雇用労働者40万円20万円

1年度1事業所当たりの支給申請上限は20名です。なお、同一の従業員について2期目の申請を行う場合は、この20名にはカウントされません。

「重点支援対象者」とは

助成額が上がる「重点支援対象者」に該当するのは、次のa〜cのいずれかに当てはまる従業員です。

a. 雇入れから3年以上経過した有期雇用労働者

ただし、雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者は無期雇用労働者とみなすため、aには該当しません。

b. 雇入れから3年未満で、次の1・2をいずれも満たす有期雇用労働者

  1. 雇い入れの日の前日から起算して、過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下
    正社員として働いた経験がほとんどない従業員が対象です。過去5年間を振り返って、正社員として働いていた期間の合計が1年以内であることが条件です。
  2. 雇い入れの日の前日から起算して、過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
    直近1年間は正社員として働いていなかった従業員が対象です。たとえば半年前まで別の会社で正社員だったという場合は、この条件を満たしません。

なお、新規学卒者はbの対象から除かれます。

c. 次のいずれかに当てはまる者

  1. 派遣労働者(派遣先の会社が直接雇用し正規雇用労働者として採用する場合)
  2. 母子家庭の母または父子家庭の父
  3. 人材開発支援助成金の特定の訓練修了者
    「人材開発支援助成金」とは、従業員に職業訓練を実施した事業主に対して助成する別の助成金制度です。その中の以下のコースによる訓練を修了した後に正規雇用労働者へ転換した場合、重点支援対象者として扱われます。

2期制:重点支援対象者は2回申請できる

重点支援対象者については、1期目(正社員転換後6か月)の申請に加えて、さらに6か月雇用を継続することで2期目の申請が可能です。有期雇用労働者を転換した場合、1期40万円×2回=合計80万円を受け取れます。

加算額

就業規則に転換制度を新たに設けた場合、以下の加算が受けられます(いずれも1事業所1回のみ)。

措置内容加算額
正社員転換制度を新たに就業規則に規定し、転換した場合20万円
多様な正社員制度(勤務地限定・職務限定・短時間正社員のいずれか1つ以上)を新たに規定し、転換した場合40万円

3. 活用事例

事例1:3年以上勤務の契約社員を正社員に転換(重点支援対象者a)

3年以上勤務している契約社員を正社員として迎えたケースです。
雇入れから3年以上経過しているため「重点支援対象者(a)」に該当し、80万円(40万円×2期)を受給した。また、就業規則に正社員転換制度を新たに規定したことで、加算20万円も合わせて受け取った。

事例2:派遣スタッフを自社で直接雇用し正社員に(重点支援対象者c)

長期間受け入れていた派遣スタッフを自社で直接雇用し、正社員として迎えたケースです。
派遣労働者は「重点支援対象者(c)」に該当するため、80万円(40万円×2期)を受給した。
派遣社員の直接雇用は派遣会社との契約内容の確認が必要になるケースがありますが、転換の手続き自体はほかのケースと同様です。

事例3:転勤が難しいパート社員を勤務地限定正社員に転換

育児中のパート社員を勤務地限定の正社員として迎えたケースです。フルタイムの正社員への転換が難しい従業員でも、勤務地限定正社員という形で正規雇用が実現した。

多様な正社員制度を就業規則に新たに規定したことで、基本の助成額に加え加算40万円を受け取った。

事例4:無期雇用の契約社員を正社員に転換

期間の定めのない契約社員として雇用していた従業員を正社員に転換したケースです。
無期雇用労働者からの転換のため助成額は20万円(1期のみ)となりましたが、正社員転換制度を就業規則に新たに規定したことで加算20万円が上乗せされ、合計40万円を受給した。

❌事例5:就業規則に転換制度を規定する前に転換してしまったケース

キャリアアップ助成金の存在を知り、パート社員を正社員に転換した事業主のケース。
申請しようとして「転換前日までにキャリアアップ計画を提出すること」と「就業規則に正社員転換制度を規定したうえで、その規定に基づいて転換すること」の2点が満たされていなかったことが判明し、今回の転換分は申請不可となった。

キャリアアップ計画の提出と就業規則の整備は、転換の実施より先に行う必要があります。今後転換を予定している従業員がいる場合は、まずこの2点を済ませておきましょう。

4. 対象となる従業員の要件

まずは正社員への転換前・転換後それぞれの雇用形態を整理し、そのうえで申請に必要な9つの要件を確認します。

転換前の雇用形態

この制度で転換の対象になるのは、「有期雇用労働者等」と呼ばれる雇用形態の従業員です。
「等」という言葉がついているように、有期雇用労働者だけではなく無期雇用労働者も含む2種類の労働者が対象です。

有期雇用労働者:「1年契約」「6か月更新」のように、雇用期間を定めた労働契約を結んでいる従業員のことです。

・1年ごとに雇用契約を更新しているパートタイマー
・雇用契約書に「契約期間:1年」と記載されている契約社員
・派遣会社と3か月の有期雇用契約を結んでいる派遣労働者

無期雇用労働者:雇用期間は定めていないものの、後述する正社員の条件を満たさない従業員のことです。一見すると正社員に近い働き方に見えますが、賞与・退職金・昇給などの待遇面で正社員と異なる場合が該当します。

・通算5年を超えて働き、労働契約法の無期転換ルールにより期間の定めのない契約に切り替わった元パートタイマー
・雇用期間の定めはないが、賞与・退職金・昇給の制度が適用されていないパートタイマー

転換後の雇用形態

では、どのような雇用の従業員に転換すれば助成の対象になるのでしょうか。
「正社員化コース」ですから、正社員へ転換するのは当然ですが、ここでいう正社員とは、以下のAとBの2種類に分かれます。

A. 正規雇用労働者(いわゆるフルタイム正社員)

次の5つの要件をすべて満たす従業員のことです。

  1. 期間の定めのない労働契約を締結している
  2. 派遣労働者として雇用されていない
  3. 勤務地・職務が限定されていない(転勤あり・業務範囲の制限なし)
  4. 所定労働時間が同一事業所の通常の労働者と同じである
  5. 就業規則等に「賞与または退職金制度」と「昇給制度」の両方が設けられており、転換後の従業員に実際に適用されている

5つ目の条件には注意が必要です。
会社として、たとえ正社員の扱いをしていても、賞与・退職金・昇給の制度そのものが会社に存在しない場合、この助成金における正社員に転換したとは認められません。
そのため、申請前にこれらの制度を就業規則に整備する必要があります。賞与・昇給の規定の書き方については「7. Q&A」で詳しく説明しています。

B. 多様な正社員

転勤ができない、特定の業務だけを担いたい、育児・介護でフルタイムが難しいなど、さまざまな事情を抱える従業員が正社員として働けるよう設けられた制度が多様な正社員です。
Aの5つの条件のうち、勤務地・職務・労働時間のいずれか1つを限定した形の正社員で、それ以外の要件(期間の定め無し、賞与・退職金・昇給が適用されるなど)はAの正規雇用労働者と同じです。

種類Aと異なる点具体例
勤務地限定正社員勤務地が特定の場所に限定されている(転勤なし)「○○店勤務のみ」など
職務限定正社員担当する業務の範囲が限定されている「経理業務のみ」「レジ業務のみ」など
短時間正社員所定労働時間がフルタイム正社員より短い「1日6時間勤務の正社員」など

対象となる9つの要件

転換前・転換後の雇用形態を確認したうえで、次の1〜9をすべて満たす従業員が申請の対象となります。

  1. 有期または無期雇用労働者であり、次のア〜ウのいずれかに該当する
    ア. 正社員と異なる雇用区分の就業規則等が通算6か月以上適用されている有期または無期雇用労働者
    パートや契約社員向けに正社員とは別の就業規則や賃金規定が定められており、その規定が実際に適用された状態で通算6か月以上雇用されていることが条件です。就業規則上に差があっても、実態として賃金条件に一切の差が生じていない場合は対象外となります。なお、契約と契約の間に6か月以上の空白期間がある場合は、その空白より前の雇用期間は通算できません。また、昼間学生であった期間も通算から除かれます。
    イ. 同一の派遣先・同一の組織単位で6か月以上継続して業務に従事している派遣労働者
    同じ派遣先の同じ部署・チームで6か月以上継続して働いていることが条件です。
    ウ. 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)による有期実習型訓練を修了した有期雇用労働者等であって、正社員と異なる雇用区分の就業規則等が通算6か月以上適用されている者
    転換日までの雇用期間が通算6か月に満たない場合は、雇い入れから転換日までの適用期間があれば対象となり得ます。
  2. 最初から正社員として雇い入れることを約束して採用された者でない
    正社員求人に応募して採用された場合や、採用時から将来の正社員転換を約束して雇い入れた場合は対象外です。パートや契約社員として採用したうえで、その後の取組の中で転換することが要件です。
  3. 転換前日から過去3年以内に、同社または密接な関係にある事業主のもとで正社員だったことがない
    かつて正社員だった人を一度パートや契約社員として雇い直してから転換するケースは対象外です。転換前3年以内に同社で請負・委任の関係にあった者や、取締役・監査役・役員であった者も対象外となります。「密接な関係にある事業主」とは、親会社・子会社・関連会社などを指します。
  4. 事業主または取締役の3親等以内の親族でない
    配偶者、父母、子、兄弟姉妹、祖父母、孫、おじ・おばなどが該当します。
  5. 支給申請日時点で、正社員として在籍が継続している
    申請書を提出する時点で転換後の雇用が継続していることが必要です。ただし、本人都合による退職、天災など事業継続が困難になったことによる離職、本人の責めに帰すべき理由による解雇の場合は除かれます。
  6. 支給申請日時点で、パートや契約社員への再転換が予定されていない
    転換後にパートや契約社員に戻すことがすでに決まっている場合は対象外です。
  7. 定年制が適用される場合、正社員転換日から定年までの期間が1年以上ある
    転換後すぐに定年を迎えるような場合は対象外です。
  8. 同社または密接な関係にある事業主のもとで、すでに定年を迎えた者でない
    定年退職後に再雇用した従業員を転換するケースは対象外です。
  9. 就労継続支援A型事業所の利用者でない
    障害者総合支援法に基づく就労継続支援A型の事業所(雇用契約を結びながら就労支援を受ける事業所)の利用者は対象外です。

なお、新規学卒者については、申請事業主に雇い入れられた日から1年を経過していない場合は支給対象外となります。たとえば、令和8年4月1日に雇用された新規学卒者については、令和9年3月31日までは対象外です。

5. 正社員転換制度として認められるための要件

正社員化コースを申請するためには、就業規則等に正社員転換制度を規定することが必要です。ただし、就業規則に転換制度の条文を設けるだけでは不十分で、制度として有効に認められるためには次の4点を明示することが求められます。

  1. 適切な転換手続きの明示
    面接試験・筆記試験など、転換のための手続きが就業規則に記載されていることが必要です。
  2. 客観的に確認可能な要件・基準の明示
    「勤続○年以上」「直近の人事評価結果が〇以上」「所属長の推薦を受けた者」など、誰が見ても判断できる基準を明記する必要があります。「会社が適当と認めた者」のような裁量のみに依拠した規定は認められません。
  3. 転換または採用時期の明示
    転換の実施時期(例:毎年○月)を就業規則上に明示する必要があります。
  4. 事業所内への周知
    転換制度の内容を、対象となる従業員を含む事業所内に周知することが必要です。

転換制度として認められないケース

次のような規定では、正社員転換制度として認められない場合があります。

パターン判定
「○歳未満」など年齢の上限を設けて対象者を限定している❌ 対象外
「勤続○年未満」など勤続年数の上限を設けて対象者を限定している❌ 対象外
客観的な要件・基準の記載がなく「会社が適当と認めた者」のみを規定している❌ 対象外
就業規則の要件(例:勤続1年以上)を満たしていない従業員を転換した❌ 対象外

年齢や勤続年数の「下限(○歳以上、勤続○年以上)」を設けることは問題ありませんが、「上限」を設けて転換できる対象者を絞ることは認められていません。
就業規則の転換制度の条文については、上記の要件を満たしているかどうかを申請前に確認しておくことが重要です。

6. 申請までの流れ

  • キャリアアップ計画の作成・提出
    各コースの取組を始める日の前日までに、「キャリアアップ計画書」を作成し、管轄の都道府県労働局またはハローワークに提出します。この提出が完了していない状態で転換を実施しても、助成の対象となりません。
    提出方法は窓口への持参・郵送・電子申請のいずれかで行えます。
  • 就業規則への正社員転換制度の規定
    就業規則または労働協約に、正社員転換制度を明記します。口約束や個別の合意ではなく、就業規則に制度として規定したうえで、その規定に基づいて転換を実施することが必要です。
    なお、勤務地限定・職務限定・短時間正社員といった多様な正社員への転換を行う場合は、転換する日において、対象の従業員以外にも通常の正規雇用労働者(多様な正社員を除く)を雇用していることが必要です。
  • 正社員転換の実施
    就業規則の規定に基づき、対象の従業員を正社員に転換します。転換は本人の同意に基づくものでなければなりません。
    また、転換前日から起算して6か月前の日から転換後1年を経過する日までの間に、事業主都合による解雇や大量離職が発生していないことも要件となっています。
  • 転換後6か月分の賃金を支払う
    転換後6か月間、継続して雇用し、その間の賃金を支払います。このとき、転換後6か月間の賃金が転換前6か月間の賃金と比較して3%以上増額されていることが必要です。
    3%増額の計算方法:原則として、所定労働時間1時間当たりの賃金で比較します。ただし、転換前後で所定労働時間に変更がなく、支給形態がいずれも月給の場合は、6か月間の賃金総額で比較します。
    比較の対象となる「賃金」は、基本給および定額で支給されている諸手当の合計です。実費弁償的な手当や毎月変動する手当(交通費の実費支給など)は含みません。また、諸手当を賃金に含めるには、その支給要件が就業規則または労働協約に記載されている必要があります。
    2期目の申請の場合は、第1期の賃金と比較して第2期の賃金を合理的な理由なく引き下げていないことが条件です。
  • 支給申請
    6か月分の賃金を支払った日の翌日から起算して2か月以内に、支給申請書と必要書類を管轄の都道府県労働局に提出します。この期間を過ぎると申請が受け付けられなくなるため、賃金支払い完了後はすみやかに準備を進めましょう。
    重点支援対象者については、1期目の申請が完了した後、さらに6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内に2期目の申請を行います。

7. Q&A

Q1. 正社員転換後に試用期間を設けていますが、支給対象になりますか?

支給対象にはなりますが、試用期間中は正社員とは見なされないため、助成額や申請期間に影響が出ます。
正社員転換後に試用期間を設けた場合、その期間は非正規雇用(無期)と見なされます。そのため、「有期→正規」の転換として申請していても「無期→正規」として審査・支給額の決定が行われます。
また、助成金上の正社員転換日は「試用期間最終日の翌日」として扱われます。賃金3%増額の比較期間も、試用期間最終日の翌日を起算点とした前後6か月間に変わり、申請期間もその6か月分の賃金を支給した日から2か月以内となります。

適性の見極めは転換前の期間中に行い、正社員転換後に試用期間を設けないことを推奨します。

Q2. 転換後6か月間に賞与や昇給の実績がないのですが、支給対象になりますか?

支給対象となり得ます。
就業規則等に「賞与または退職金制度」かつ「昇給」の規定が確認できれば、転換後6か月間に実績がなくても支給対象となり得ます。ただし、就業規則の規定どおりに運用されていない場合(例:6月に賞与を支給すると規定されているが実際には支給されていないなど)は、合理的な説明を求められる場合があります。
なお、「勤続1年以上の者から賞与を支給する」など、転換直後からの支給が期待できない制度であっても、正社員として採用された者と同一の待遇として規定されているものであれば、支給対象となり得ます。

Q3. 賞与の規定に「業績によっては支給しないことがある」と書いてあっても大丈夫ですか?

「原則として支給する」という趣旨であれば問題ありません。
「賞与は原則として支給する。ただし、業績によっては支給しないことがある。」という記載だけをもって支給対象外とはなりません。一方、以下のような規定は支給対象外となります。
・「賞与は支給しない。ただし、業績によっては支給することがある。」
・「賞与の支給は会社業績による。」
原則として支給するかどうかが就業規則等の記載から明確に読み取れることが重要です。

Q4. 昇給の規定はどのように書けば対象になりますか?

就業規則等に客観的な昇給基準が定められていれば対象となります。
たとえば「昇給は勤務成績その他が良好な労働者について、毎年○月○日をもって行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は行わないことがある。」のように、基準と実施時期が明確であれば、降給の可能性がある規定でも対象となり得ます。
一方、「会社が必要と判断した場合には、賃金の昇降給その他の改定を行う。」のように、客観的な基準がなく会社の裁量のみで決まる規定は対象外です。
なお、昇給の金額(いくら上げるか)については、いくら以上ならokという規定は特に設けられていません。

Q5. 賃金3%増額の計算で、算定に含められない手当はありますか?

実費補填的な手当や毎月変動する手当は算定に含められません。

以下の手当は算定から除かれます。

  • 通勤手当(交通費の実費補填)
  • 住宅手当(家賃等の補填)
  • 時間外労働手当・固定残業代(ただし固定残業代の総額または時間相当数を減らしている場合は別途確認が必要)
  • 歩合給(営業成績等に応じて支払われるもの)
  • 精皆勤手当(勤務状況等に応じて支払われるもの)
  • 食事手当(食費の補填)

また、転換後の賃金に諸手当を含める場合、その手当の支給要件・計算方法が就業規則または労働協約に記載されているものに限られます。

8. まとめ

正社員化コースは、パートや契約社員として活躍してくれている従業員を正社員として迎える取組を後押しする制度です。雇入れから3年以上経過した有期雇用の従業員や派遣スタッフの直接雇用など、”重点支援対象者”に当たるケースでは最大80万円(40万円×2期)を受け取れます。
また、これまで就業規則に正社員転換制度がなかった会社が新たに規定を設けた場合は、さらに加算が受けられます。

申請にあたって特に注意が必要なのは”順番”です。
キャリアアップ計画書の提出と就業規則への転換制度の規定は、転換を実施するより前に済ませておく必要があります。転換後に賞与・退職金・昇給が適用される正規雇用労働者の定義を満たしているかどうかも、転換前に確認しておきましょう。

まずは、就業規則の整備とキャリアアップ計画書の提出を最初の一歩として動き出しましょう。
要件の詳細や自社の状況への当てはめ方については、管轄の都道府県労働局またはハローワーク、もしくは社会保険労務士にご相談ください。

お気軽にお問い合わせください

※本記事は2026年4月時点の法令・情報に基づき作成しています。
助成金の支給要件は頻繁に変更されるため、具体的な申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認いただくか、所轄の労働局または社会保険労務士までご相談ください。
【参照資料】
厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年年度版)」
     「キャリアアップ助成金支給要領(令和8年年度版)」
     「キャリアアップ助成金Q&A(令和8年年度版)」

👉 厚生労働省:キャリアアップ助成金 公式ページ(申請書・要領のダウンロードはこちら)


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